有松|「れもん湯」で、とろとろにととのう。〜湯るっと、かなざわ。銭湯めぐり。vol.3

有松|「れもん湯」で、とろとろにととのう。〜湯るっと、かなざわ。銭湯めぐり。vol.3

湯るっと、かなざわ。銭湯めぐり。

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カナミー金沢編集部
カナミー金沢編集部
  1. 有松|「れもん湯」で、とろとろにととのう。〜湯るっと、かなざわ。銭湯めぐり。vol.3
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    有松|「れもん湯」で、とろとろにととのう。〜湯るっと、かなざわ。銭湯めぐり。vol.3

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レモン色の看板が目印の「れもん湯」は、金沢・有松の地に溶け込む、あたたかな銭湯。
美肌の湯であるとろとろで真っ黒なモール泉や120℃の本格ドライサウナ、広々としたプールのような水風呂など、“ととのう”魅力がぎゅっと詰まっている。
ぬくもりに包まれながら、心までゆるむひとときを求めて、湯るっと足を運んでみる。

温かい場と、熱い想いが交わる。「有松温泉元湯れもん湯」で、とろとろにととのう。

いざ新生「れもん湯」へ

「れもん湯」の看板はすぐに見つけられる。

2023年4月にリニューアルオープンした「れもん湯」は、金沢市有松地区の大通りでひときわ目立つ黄色の看板が目印。レモンのイラストが描かれた看板からはアットホームさを感じる。広々とした駐車場(50台・無料)に車を停め、平日は朝9時からいざ店内へ。

下駄箱に靴をしまい、入口横の券売機へ。ここで入浴券を買い、受付でサウナ利用を伝え、追加で支払いをする。現金オンリーなので要注意。


券売機は現金のみ。

 

コーヒー色のとろとろなお湯

受付横ののれんをくぐり脱衣所へ。明るくすっきりとしており、清潔感がある。大きめの鏡やドライヤー、歴史を感じる体重計や身長計もある。中央には腰掛があり、ゆっくりできる雰囲気もある。常連さんたちが朝の挨拶を交わしながら、1日の始まりを景気づけている。お湯につかる前から、何だか気持ちがポカポカする。


明るく広い清潔な脱衣所

ガラス戸を開けて、浴室に入ると、さっと湯気が立ち込めるあたたかい空間が広がる。椅子や桶も整えられおり気持ちがいい。シャワーや蛇口はシンプルながらも使いやすい配置。シャンプーやボディソープは、持ち込みか、受付で購入可能。温度調整もしやすく、水圧もちょうど良いので、快適に体を洗える。


内湯(男湯)


内湯全景(女湯)


洗い場(男湯)


洗い場(女湯)シャワーヘッドが大きいのが嬉しい。

洗身したら、メインの浴槽へ。浅めに設計されているのでじっくりとお湯につかれるのが嬉しい。温度は約42℃に設定されているという。浴槽の底から出る気泡をふつふつと感じられるのがたまらない。

「れもん湯」の最大の特徴は何といっても、このとろとろとしたコーヒー色の天然薬泉温泉だろう。地下800mから湧き出ているモール泉は本当に真っ黒だ。モール泉というのは地下に堆積している植物の層を通って湧き出てくる温泉のことで、植物由来の保湿成分や有機物を豊富に含んでいるそうだ。お肌にも優しく、美人の湯ともいわれている。

本当に真っ黒なモール泉

浴室内の一角には掛け流しとジェットバスゾーンがあり、強めの水流が程よいマッサージに。肩や背中、腰が凝っている方には嬉しい設備。

源泉かけ流し


ジェットバス(勢いのある水流でリラックス)

 

120℃のロックな設定。金沢有数の高温ドライサウナ!

「れもん湯」のもう1つの特徴は、クラウドファンディングで新調された高温ドライサウナ。設定温度は120℃(女性は100℃)というロックな設定。高温熱波ファンにはたまらない。サウナに力を入れ始めたのは店主・角(かど)さんの奥様による提案だったという。座面はL字に2段。7~8名が入れるくらいの大きさだ。入り口の奥にはヴィヒタ(白樺の若い枝を束ねたもの)が吊るされている。入った瞬間から本場北欧の香りを感じる。


サウナ全景(男湯:120℃・女湯:100℃)


本格的なヴィヒタからは北欧の香りが漂う

より熱を感じやすい上段に席を取る。おぉ。思った以上に熱い。
少し経つとオートロウリュが作動。(男湯は20分に1回、女湯は1時間に1回)ベリーアロマの良い香りと共に一気に室内の温度と湿度が上がる。汗が吹き出す。高温設定ではあるが、湿度が高いのでいいバランスだ。普段は10分で入るが、ここでは7分でちょうどよさそうだ。


サウナストーン(20分に1回アロマのオートロウリュ)

水風呂?もはやプールです。

十分に汗をかいたら、シャワーで汗を流して水風呂へ。「れもん湯」には2つの水風呂がある。
サウナ近くにある地下水の水風呂(16℃)も良いが、私は断然露天の広い水風呂派だ。こちらももちろん地下水。この広々とした水風呂は、もうプールと呼んでも良いくらいだ。温度は露天のため季節や天候によって13℃〜18℃くらいで上下するそうだ。
店主の角さんによると、周りのお客さんにご配慮いただければ「潜る、泳ぐ、浮く。どうぞご自由に」とのことだ。お風呂だけでなく店主の心の広さも感じる。
浮遊感を感じながら、じっくりと冷たさを楽しむ。

内水風呂(水温は16℃)

露天水風呂(水温は13℃~18℃ 季節や天候によって変動。冬場は10℃以下になることもある)

タイル絵はアルプスをイメージしたものらしい。(諸説あり)

上がったあとは、寝ころびながら外気浴。水風呂から出ているのにもかかわらず浮遊感が続いている。この時点で心も体も「とろとろ」にととのっている。
いつもは3周ほど周回するが、ここでは1周でも十二分に満足できるからタイパも良い。外のととのいスペースが埋まっているときは、しっかりと体をふいて水気をきれば、脱衣所の椅子も利用できるとのこと。

ととのいスペース(男湯は寝転がれるタイプ)

ととのいスペース(脱衣所内は水気を切ってからご使用ください)

最後にもう1度だけ温泉につかって仕上げ。柔らかいお湯に包まれながら、自然と耳に入ってくる常連さんの会話にほっこりする。

 

湯上がりの1杯で気分爽快!

浴室を出て脱衣所の扇風機で涼みながら身支度を済ませ、番台前の待合室へ。自動販売機やアイスの入った冷蔵ケースが並んでおり、風呂上がりの乾いた喉を潤すのにぴったり。

ロビー(ドリンクコーナーやベンチがあり、ゆったり過ごせる)

自販機の種類も豊富

湯上りのアイスが大人も子どもも嬉しい。

今日は炭酸水。ごくりと飲むと、体の芯にスカっと染み渡るようだ。常連さんが「またおいで」と声をかけてくれた。こんな風に笑い合う様子を見ていると、ここがただの入浴施設ではなく、人と人とが温かくつながる場所なのだと実感する。

 

使い方は自由自在!家族風呂

実は「れもん湯」には、家族風呂が2階に9つもある。そのうち2つはなんとサウナ付きだ。
予約は特に行っていないそうで、現地での受付となる。
家族連れはもちろんだが、カップルや個人での利用客もいるそうだ。じっくり自分の時間を過ごしたり、人目を気にせず家族やパートナーと楽しく過ごしたりするにはもってこいなのかもしれない。今度は家族も連れて来よう。きっと喜んでくれるだろう。

家族風呂フロア

家族風呂内湯

家族風呂の個室サウナも大人気だそうだ。

玄関を出ると、朝の風が心地よく頬をなでる。ほかほかに温まった体に涼しい空気がふわりとまとわりついてくるのが、何とも言えない開放感。
何だか良い1日が始まりそうだ。

 

「れもん湯」のカナメ|インタビュー

店主である角 慎太郎(かど しんたろう)さんに、「れもん湯」の歴史や新しい挑戦などカナメ(要)について話を聞いてみた。

店主の角 慎太郎さん

大好きな場所を守りたい。
「れもん湯」の始まりは、先々代が始めた敷地内の喫茶店「れもん館」からだった。知人からの「ここは温泉が出るぞ!」との勧めから掘削をはじめ、見事掘り当てた。
そして1986年に「有松温泉元湯れもん湯」が誕生した。その後、2021年に3代目として慎太郎氏が経営を引き継いだ。

「この『れもん湯』で生まれ育ち、17年前に家業に入りました。最初は慣れ親しんだ場所から離れたくない、くらいの想いでした。転機となったのはコロナ禍でした。自粛ムードで客足も遠のき経営状態も厳しい状態。このままでは自分が生まれ育った大切な『れもん湯』がなくなってしまう。何とかしないと、と一念発起し経営を引き継ぎました。不安定な経営状態だったため、妻からの反対もありましたが、『必ず良くする。それまで信じてついてきて欲しい』と再建を誓い説得しました。目の前のお客様、まずは常連さんを大切にしようと、挑戦する覚悟を決めました。僕はこの場所、温泉が本当に好きなんです。」

やれることは何でもやる。
「経営改善として、やれることはなんでもやろうと思っていました。まずは妻の提案でもあったサウナの改修をするため、クラウドファンディングに取り組みました。その結果、300名以上の方から、総額1,500,000円以上の応援をいただきました。特徴的なサウナにしたいと思い、120℃の高温設定にしたところ、コアなファンをつかむことができました。また、これまで無料だったサウナでも料金をいただけることとなり、新しい収入とお客様を迎えることができました。」

クラウドファンディングで応援していただいた方の返礼品

「それからボイラー設備も、再生油が使えるものに更新しました。昨今の燃料費高騰もあるので、生産性を上げることができています。また家族風呂も改修を行いました。サウナ付きの家族風呂って結構珍しいので、喜んでいただいているように思います。」


地域をワイワイできる場所にしたい。
「れもん湯」の顧客層は幼児からシニア層まで幅が広いことが特徴だ。午前中から夕方までは地元のシニア層で賑わう。そして夕方からは子連れ客や若い世代も足を運んでいるという。週末は高温サウナを求めて県外から来店される方もいるのだとか。平日ではおよそ400人、土日祝では700人近くの方に利用されている。

「有松という地域ですが、私が小さい頃は賑やかでした。近所の大人や子どもが関係なく交流しワイワイとしていました。このワイワイしている思い出が私の原体験です。しかし今はみんな少し疎遠になっているような気がします。この銭湯経営を通じて、ワイワイとした温かな場づくりがきっとできるはずだと信じています。日常を大切にすることをベースに置きながら、キッチンカーのイベントや夏祭り、ハロウィン、クリスマスなど、地域の人たちと触れ合う機会も出来るだけつくっています。」

目の前のお客様を大切にする。
目の前のお客様を大切にする。とてもシンプルなことだが、そこに強い想いが無ければ継続することは難しいはず。そう尋ねたところ、

「そんなワイワイした場を作っていくためには、やっぱり常連さんを大切にすることが一番だと思っています。新しいことにチャレンジするときも必ずその人たちの顔を頭に浮かべています。本当に苦しい時に支えてくれた人たちですからね。これからもその想いは変わりません。これからもこの場であり続ける為には、まだまだチャレンジしていきたいですね。建物自体も古くなってきたので、数年先に建て替えも妄想しています。より温かい場所にするために、そうあり続けるために、できることは何でもしたいんです。」

そう語る角慎太郎氏の目の奥には熱がこもっていた。
この熱い想いこそが「れもん湯」のカナメである。

「それでも未来に繋いでいくためには、若い世代に利用していただくことも大切です。マナーなどもありますが、緊張せずにお湯に入って緩んでいってください。きっと常連さんたちが優しく迎えてくれるはずです。」と角さんは笑顔で話す。

常連さんたちに囲まれながら、新しいお客さんたちが笑顔で迎え入れられる。
「れもん湯」はこれからもこの地で笑顔を生み出し続けていく。

 

「れもん湯」は、新たに生まれ変わった真新しい空間でありながら、昔ながらの温かさを大切にした銭湯。人と人をつなぐ金沢の銭湯文化をしっかり受け継ぎながら、これからもこの地でゆるやかに心と体をほどいてくれるはずだ。ゆったりとお湯につかりたいとき、やさしさにふれ疲れを癒したいとき、ぜひふらりとのれんをくぐってみてほしい。

 

「有松温泉元湯れもん湯」施設情報

【利用料金】
■銭湯
・大人(12歳以上):500円
・高校生・大学生・専門学校生:300円(学生証提示)
・小学生(7〜12歳):150円
・幼児(6歳以下):70円
・ふれあい入浴:160円(金沢市ふれあい入浴補助券をお持ちの65歳以上の方)

 

■サウナ
・サウナ利用:150円(サウナマット付)
貸しタオル:有料(現地にて確認)

 

■家族風呂
・スタンダード:2名1室60分 1,900円(1名利用 1,600円
・サウナ付き:2名1室80分 2,500円 (1名利用 2,200円

延長料金
・ スタンダード:1室10分 200円
・サウナ付き:1室10分 300円
割増料金(人数追加)
・スタンダード:1名につき 300円(小学生100円・幼児は無料
・サウナ付き:1名につき500円(小学生100円・幼児は無料

【設備】
・浴場:男湯3つ・女湯3つ(共に43℃
・サウナ:ドライサウナ(男湯120℃・女湯100℃
・水風呂:地下水利用、露天水風呂12℃~18℃(天候や季節による/内水風呂18℃
・屋根付き外気浴スペース(男湯2席・女湯2席)
・脱衣所休憩スペース(男湯2席・女湯2席)
・家族風呂:8室(うちサウナ付2室)※予約不可。当日受付のみ。

INFORMATION

店名:

有松温泉元湯れもん湯

住所:

石川県金沢市有松3丁目11-6
(無料駐車場50台)

電話番号:

076-243-0626

営業時間:

平日 9:00~23:30 / 家族風呂:17:00~23:30(最終受付 22:00)
土・日・祝 15:00~23:30(最終受付 22:00) / 家族風呂も同様

定休日:

毎週月曜日(祝日は営業、翌日振替休日)
※年に数回メンテナンス休業あります。不定期です。

一人当たりの予算:

〜1,000円

※記事内の情報は記事執筆時点のものです。正確な情報とは異なる可能性がございますので、最新の情報は直接店舗にお問い合わせください。