【Relation】石川県の中小企業経営者インタビュー vol.27|生花店「有限会社 イズム(HANAMARU)」島村嘉郎氏

【Relation】石川県の中小企業経営者インタビュー vol.27|生花店「有限会社 イズム(HANAMARU)」島村嘉郎氏

花を介して心豊かな社会づくりを目指す有限会社イズム。
ブライダルを中心とした様々なサービスに加え、近年では新規事業にも積極的に参入し、その業績を大きく伸ばしています。
今回は経営者としてのみならず、フローリストとしても幅広い活躍を見せる島村嘉郎(しまむら・よしろう)氏にお話を伺いました。

感動と驚きを届けたい

有限会社イズム(HANAMARU)島村嘉郎氏

家業の継承

─ 昭和62年、ご両親が花屋さん「花まる」をオープンされたのが前身と伺っています。当時から花に囲まれた環境に身を置かれていたのですね。

そうですね。ただ私も中学生でしたし、正直なところ、それほど花に対して特別な興味を持っていたというわけではありません。

高校卒業時には進路に迷いましたが、家業のこともあり、まずは花を学ぶため専門系の短大に進学することにしました。その後は東京で花屋さんに就職もしています。

─ 仕事をする中で、花に対する意識にも変化があったのでしょうか。

東京ではホテルや式場などでブライダルフラワーを担当しましたが、有名なフラワーアーティストの方に師事したことや、美しい花々に日々接することで、視野や認識がずいぶんと広がりました。

私自身もいつか多くの人を感動させるようなフローリストになりたいと思うようになりましたね。

HANAMARU店内のドライフラワー

─ その後、金沢に戻り有限会社「花まる」を立ち上げています。

父親の体調が悪くなり、店舗運営が難しいとのことで、急遽家業を継ぐことになりました。

父は植物には博識で、それまでは園芸を専門に力を入れていたのですが、あいにく私は知識がありません。
これをきっかけに方向転換を図り、母と共にホテルや式場へブライダル関連の営業を開始しました。

当時は第2次ベビーブームでブライダル需要が非常に高まっていた背景もあり、売上を大きく伸ばすことができました。

平成16年には社名を現在の「イズム」に変更した他、県外にも店舗「HANAMARU」を構え、社員数も20名を超えるほどになりました。
北陸でもトップシェアを達成することができたかと思います。

─ 島村社長ご自身もフローリストとして著名人の結婚式や映画制作、また海外でも多く活躍をされているそうですね。

いずれも大変貴重な機会ばかりですが、いろいろと気遣いも必要ですし、緊張も強いられる仕事ですね。(笑)
ただ多方面からお声をかけていただくようになり、大変ありがたいことだと思っています。

HANAMARU店内のお花

 

コロナを経て多角化へ

─ そういった生花業の一方で、現在はその他の業種にも進出されているとお聞きしました。

やはりコロナの影響は大きかったです。あらゆる結婚式やイベントがキャンセルされ、数年にわたり売上が大幅に落ち込みました。

約20年、それまで生花業だけでやってきた経営を見直さざるを得ない状況になって、全く異なる業種へいくつもチャレンジしました。
パン屋のフランチャイズ、抗原検査の代理店、エステなど、中には失敗に終わってしまったものもありますが、やはり社員は解雇したくありませんでしたし、必死でしたね。

ただその中でも特に軽貨物運送業は大手ECサイトの成長にのる形で、順調に業績を伸ばしています。
たった1台の車両から始めましたが、現在はドライバーが40名、車両が20台まで規模が大きくなりました。今でも現場の状況を知るため、時には私自身が運転することもありますね。

現在はコロナで苦しんだ分を、少しずつ取り戻している状況といえるでしょうか。

有限会社イズム(HANAMARU)島村嘉郎氏

─ 今のお話からも、島村社長の経営者としての自負がうかがえます。

まずは何でも1番になるまでやめない、という負けず嫌いな姿勢が原動力になっているように思います。

またチャンスがあれば即断し、スピード感あるオペレーションを図ることも大切にしています。
これまでも「1秒の遅れは一生の遅れ」を信念とし、情報をキャッチしたら即行動に移してきました。

会社というのは経営者以上には絶対にならないものです。

これからもいろいろなことにチャレンジし続けていきたいですし、リスクを背負ってでも道を切り開くんだという強い覚悟と信念を持っていきたいですね。

HANAMARU店内のお花

HANAMARU店内のドライフラワー

 

本当のサービス業とは

─ 島村社長がお客様と接する上で、大切にされていることは何でしょうか。

私たちサービス業はお客様にどれだけ喜んでいただけるか、感動や驚きを与えられるか、そこにこそ価値があると思っています。

お客様の期待値が10だとしても、それを12にするような+αの魅力を付け加えることができれば、お客様は必ずお店のファンになっていただけますよね。

当店では一般的な花屋さんのようにショーケースが前面に出ていません。

花束をお作りする際も、お客様のご希望をお聞きした上であえて花の選択やアレンジなどの工程はお見せせず、その分、ご期待を大きく上回る仕上がりで喜んでいただけることを目指しています。
(お客様のご希望があれば、お見せすることも可能です)

有限会社イズム(HANAMARU)島村嘉郎氏

─ プロセスを隠すことで、花束をお渡しするときが最高の瞬間となるわけですね。

社員には花を売るのではなく、感動や幸福を創出する「フラワーコンシェルジュ」としてお客様に接するよう言っています。花はそのための1つのツールと言えるかもしれませんね。

私たちの社名であるイズム(ISM)も、Impression Surprise Making(人生の特別な日に驚きと感動を創造していきたい)という企業理念をあらわしたものです。

感動や感銘は一生心に残るもの。 これからもそういったサービスをお客様に提供していきたいですね。

有限会社イズム(HANAMARU)の外観

設立:1999年10月

事業内容:ウェディングフラワー・ギフトフラワー・フラワーディスプレーの制作販売・フラワースクールの運営・軽貨物運送・エステサロンの運営

INFORMATION

店名:

有限会社 イズム(HANAMARU)

住所:

石川県金沢市田上さくら3丁目73番地

電話番号:

076-263-8820

営業時間:

10:00〜18:00

定休日:

火曜日

※記事内の情報は記事執筆時点のものです。正確な情報とは異なる可能性がございますので、最新の情報は直接店舗にお問い合わせください。