金沢生まれの自費出版『それはある日突然に…能登半島地震』〜カナミー文庫 vol.4

金沢生まれの自費出版『それはある日突然に…能登半島地震』〜カナミー文庫 vol.4

カナミー文庫

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カナミー金沢編集部
カナミー金沢編集部
  1. 金沢生まれの自費出版『それはある日突然に…能登半島地震』〜カナミー文庫 vol.4
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    金沢生まれの自費出版『それはある日突然に…能登半島地震』〜カナミー文庫 vol.4

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2024年1月1日、16時10分。
お正月の和やかなひとときを襲った能登半島地震で、能登の人々の暮らしは一変しました。
当たり前だった日常が突然奪われた、あの日。

時間が経つにつれ、震災の記憶は少しずつ薄れていきます。
しかし、あの日のことを忘れず、未来へつないでいくことが大切なのではないでしょうか。

当たり前の日常の尊さ。被災者が描く能登半島地震

能登半島地震の体験漫画

自費出版『それはある日突然に…能登半島地震』表紙

『それはある日突然に…能登半島地震』は、能登半島地震の体験を記録した漫画です。

 

2024年1月1日に起こった、マグニチュード7.6、最大震度7の能登半島地震。

この地震で、能登半島では大規模な火災が発生しました。
津波や土砂崩れも広範囲で発生し、道路は寸断され、電気や水道などのライフラインは長期間にわたり停止。人々の生活は一変しました。

能登半島地震で壊れた家

地震で崩壊した家(写真提供:旭岡さん)

 

被災者が描く、あの日からの物語

この漫画の著者は、当時輪島に住んでおられた旭岡敏文さん。

震災後は金沢に避難し、輪島でのご自身の体験をX(旧ツイッター)で1日1ページの漫画にして投稿してこられました。

本を出すつもりはなかったそうですが、投稿を続けるうちに「本にしてはどうか」という声が寄せられるようになったといいます。

被災して制作費用もままならないため、クラウドファンディングで資金を集め、今回の自費出版にこぎつけました。

 

漫画から伝わる、震災の真実

物語は、お正月の家族団らんのひとときから始まります。

いつもと変わらないお正月に、突然襲った激しい揺れ。

自費出版『それはある日突然に…能登半島地震』本文

目の前で壊れていく家、津波、避難先の高台から見た火事の炎…。

自費出版『それはある日突然に…能登半島地震』本文

やわらかいタッチの絵で描かれていますが、現実はどれほどだったかと想像すると胸が痛みます。

余震が続く中、避難先で眠れない夜を過ごしたこと。
周りの人々と協力し合って何とか乗り越えたこと。
車で避難する道中に見た惨状。
内灘の親戚の家にたどり着いたとき、そこはまるで別世界で、やっと人らしい生活に戻れたこと。

当たり前だと思っていた日常のありがたみを感じたこと。

想像できないほどの被害の大きさと、漫画での臨場感あふれる描写に、この震災がどれほど大きな出来事だったかを改めて痛感させられました。

 

初めて尽くしの本づくり

震災当時のことは、細かいことまで全部記憶していたという旭岡さん。
漫画には「嘘はかかない」と決め、その体験をコツコツ描いてこられました。

「あくまでも自分自身が体験したことであり、日記のようなもの」と言いますが、だからこそリアリティがあります。

自費出版をするにあたり、ご自身でクラウドファンディングにも挑戦。
支援金が集まり、今回の出版に至りました。

インターネットでの出版サービスが多くある中で、見積もりも取ってみたという旭岡さん。
ただ、それから先をどうしていいかわからない。
そんなときに、対面で話をできるということで、栄光書房を訪ねていただきました。

「初めてのことばかりで不安だったけれど、直接話をして進められるのが安心感がありました。打ち合わせがありがたかったですね」

自費出版『それはある日突然に…能登半島地震』完成した本

完成した本を手にして「本らしい本になって、感動した」と満面の笑みを見せた旭岡さん。

「もっと部数を多くしておけばよかった」と語るほど、仕上がりにご満足いただきました。

自費出版『それはある日突然に…能登半島地震』著者

(イラスト提供:旭岡さん)

 

デジタルデータを紙に印刷するときには、色の出方が気になるもの。
特に漫画やイラスト、写真などの場合は、画面で見るのと印象が異なることもあるので、こだわりがあるほど仕上がりが不安になると思います。

近年のデジタル印刷機は精度が高く、鮮やかな印刷が可能です。
また、印刷前に実際の仕上がりを確認することができるので安心です。

旭岡さんも、中間色がきれいに出ていると喜んでくださいました。

 

能登半島地震を忘れないために

旭岡さんのクラウドファンディングでは、多くの方から応援メッセージが寄せられていました。
SNSで投稿される漫画を読んでいた人たちのほか、県外からの支援者、能登を忘れないで欲しいと願う声も見られました。

能登半島地震から1年以上が経ち、当事者でない人たちは、どうしても日常に追われて記憶が薄れてしまいがちです。

そんな中で、能登を忘れず、被災された方々に寄り添い、その思いを伝えていくことの大切さを改めて感じさせられます。

能登半島地震の体験漫画に興味のある方は旭岡さんのSNSで読むことができますので、ぜひご覧ください。

 

本はクラウドファンディングの返礼品として出版されるため一般流通はしていませんが、金沢市の石引商店街にある私設図書館「Community&Library コトノハ」で読むことができますよ。

 

「こんな本、つくってみたいな」と思ったら、どうぞお気軽にご相談ください。
あなたの “作りたい” を、私たちが全力でサポートします!

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INFORMATION

店名:

栄光書房(株式会社栄光プリント)

住所:

石川県金沢市神宮寺3-4-17

電話番号:

076-251-3076

営業時間:

9:00〜17:00

定休日:

土曜日・日曜日・祝日

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