
香林坊|気軽に楽しめる、心が近づくジェラート「gelateria RITORTA(ジェラテリア リトルタ)」
友だちと買い物をして、ランチをして、お腹は満たされた。でも、もう少し話したい。
あるいは、仲良くなりたいけど、カフェに誘うのはちょっとハードルが高い…。そんなときにぴったりなのが、ジェラート。
気軽に誘えて、素材そのもののおいしさを楽しめる。そんなジェラートが味わえる、香林坊・せせらぎ通りの「gelateria RITORTA(ジェラテリア リトルタ)」さんをご紹介します。
目次
人と人をつなぐ、せせらぎ通りのジェラート専門店
金沢市中心部、香林坊エリアに広がるせせらぎ通り商店街。優しく水が流れる鞍月用水沿いには、個性的なお店が並び、店先には用水を渡る小さな橋が架けられています。
香林坊を歩いたら、ジェラートでひと息
「ジェラテリア リトルタ」さんは2019年11月のオープン以来、地元の人や観光の方にも人気のジェラート専門店です。
店主の今川絵里子さんは、イタリア留学中に現地のジェラテリアの和気あいあいとした雰囲気に魅了されました。イタリアでは「ジェラート食べに行かない?」と気軽に誘い合い、友人と親しくなるきっかけにもなったそうです。この経験を活かして、誰でも気軽に立ち寄れる、温かい雰囲気のジェラテリアを目指してお店を開店しました。
せせらぎ通り沿いにたたずむ、落ち着いた雰囲気の店舗。気軽に立ち寄れるロケーションも魅力です。
お店専用の駐車場はありませんが、徒歩1分の「パークステーション百番せせらぎ通り」など、周辺には有料パーキングがいくつかあります。
また、大和・香林坊店やクラソ・プレイス香林坊(旧:香林坊東急スクエア)からも歩いて5分ほどの距離。お買い物の合間に立ち寄るのにもぴったりです。
どれにする?迷うのも楽しい時間
お店に入ると、まず目を惹くのは大理石と蓋付きのステンレス製のショーケース。絵里子さんが風味を守るためにこだわったこのジェラートケースは、見た目もスタイリッシュで素敵です。空気に触れることで風味が変わらないように工夫されており、細かな配慮が感じられます。
ケースの手前には、ジェラートの説明が書かれたポップが並んでおり、じっくりと目を凝らしながら選ぶ楽しさがあります。
季節のプレミアムフレーバーは、味だけでなく、手作りのかわいらしいポップにもこだわりが感じられます。このポップを見るのも楽しみのひとつです。
フレーバーは1〜3種類から選べ、カップとコーンも選べます。私はいつも2フレーバーを選ぶのですが、どれにするか迷ってしまい、一緒に行った友人や後から来るお客さんに順番を譲ることもしばしば。
友人と同じフレーバーを選ぶと「気が合うね〜」とうれしくなり、違うものを選べば「その組み合わせもおいしそう〜」と言い合いながら、選ぶ時間も楽しんでいます。
メニュー(すべて税込)
1フレーバー 560円
2フレーバー 600円
3フレーバー 630円
追加料金
プレミアムフレーバー 100円
コーン 60円
店内には、3名ほどが座れるベンチが2つあり、落ち着いた空間が広がっています。席が埋まってきても、お客さん同士で譲り合ったり、お店の方が椅子を出してくれたりと、温かい雰囲気が漂います。晴れた日には、テイクアウトして近くの香林坊にぎわい広場で楽しむのもおすすめです。
素材の良さが引き出された、やさしい味わい
●ミルク(上)とピスタチオ(下・プレミアムフレーバー)700円(税込)
ミルクは、石川県内灘町のホリ乳業の低温殺菌牛乳に能登の米飴を加えたシンプルなジェラート。あっさりとした優しい甘さの後に、ミルクの濃厚なうまみがじんわりと広がり、余韻が長く続きます。
ピスタチオは、世界一質が高いとされるイタリア・シチリア島ブロンテ産のピスタチオを、自家製ペーストにして使用した濃厚な味わい。ナッツの香ばしさが口いっぱいに広がり、上品な甘さが感じられます。
●りんご(上)とカモミールバニラ(下) 600円(税込) どちらも季節限定フレーバー
りんごは、長野県産の旬のものを使用。この日は、果肉が赤いムーンルージュという品種でした。美しい色合いに加えて、シャキシャキとした食感が楽しめ、甘酸っぱい風味が口の中で広がります。
カモミールバニラは、クロアチア産ジャーマンカモミールとタヒチバニラを使ったジェラート。ふんわりとした甘さに包まれ、心がほどけるようなやさしい味わいです。
おいしさの裏に見える、支える人々の顔
絵里子さんはフルーツをジェラートにする際、常に農家さんの顔を思い浮かべながら、1つひとつ丁寧に作っています。
「フルーツをそのまま食べるよりも美味しくなければ意味がないと思うんです。だからこそ、すごく神経を使います。フルーツによっては、ジェラートにする方が美味しくなるものもあれば、やっぱりそのまま食べた方がいいなと思うこともあります。追熟をしたり、状態を見ながら作らないといけないので、焦って作ると失敗します。そんな時は、やっぱりフルーツにごめんって思ってしまいます。」
時には、熟しすぎて使えなくなったり、思い通りにいかないこともある中で、理想の味を出せた瞬間が絵里子さんの喜びだと言います。
「フルーツは絶対に思い通りにはいかないから、その中でうまくいったときの嬉しさは格別です。実際に会ったことはないけれど、その農家さんにも美味しいジェラートを食べてもらいたいという思いが、私の支えになっています。」
さらに絵里子さんは「新しいフレーバーを考えるの、めっちゃ楽しいです。冬はお店が落ち着くので、新しいフレーバーにチャレンジしやすいんです。だから、冬のフレーバーを考えるのが特に楽しくて」と、笑顔で続けます。
お店ではミルクやチョコレートといった定番のフレーバーに加え、季節ごとに登場するフレーバーもあります。旬のフルーツ、お茶やチーズ、スパイス、ハーブなど、素材の良さを生かしたジェラートは、訪れるたびに新しい発見があります。常連のお客様の好みを知るようになってからは、その人の顔を思い浮かべながら考えることも増えたそうです。
お店の要は「人」—そのつながりを感じた瞬間
限定フレーバーの1つには、手作りのポップがショーケースに添えられており、毎回目を奪われます。
ちょうど取材中、お店の常連であり私の友人でもあるMさんが来店され、「このポップ、いつも楽しみにしているんですよね」と話していると、絵里子さんが奥からこれまでのポップを持ってきてくれました。名刺サイズほどのカードがずらりと並び、そのカラフルさに思わず笑みがこぼれます。同時に、その数の多さから、オープンして5年という月日をしみじみと感じました。
「これ覚えてる!」「Mさん、これが好きで何度も食べに来てくれたよね!」「このポップのモチーフは何ですか?」と、話は尽きず、あたたかい時間が流れました。
絵里子さんは、お店の要は「人」だと語ります。まさにその瞬間、みんなでポップを囲んで語らっているように、大切なのは周りの人たちとのつながり。
ジェラテリアを始めたいという思いを抱き、実際にお店をオープンするまでも、周囲の多くの人々に支えられてきたそうです。踏み出そうとするたびに、背中を押してくれたのは東京で修業をしたときの師匠、家族、友人、金沢の街の人々。そしてお店が始まってからも、訪れるお客さんや常連さん、スタッフに支えられていることを強く感じているそうです。
店内には常連の方が描いた絵が飾られています。
これまでもこれからも、気軽に立ち寄りたい場所へ
ショップカード(左)ジェラートのスタンプを押してくれるポイントカード(中央、右)店名のRITORTA(リトルタ)は、絵里子さんがイタリア留学のときに住んでいた通りの名前
5周年を迎えたばかりの店内で、絵里子さんに今後のお店づくりについて伺いました。
「気づけばお店を始めて5年。初心を忘れたくないと思いながらも、何か新しい発見があるわけでもなく、なんとなく慣れてしまった自分に気づくことがあります。でも、あの頃のようにがむしゃらに走るだけではいられない。じゃあ、この先10年を目指して、どんなお店にしていきたいのか――そんなことを考えるようになりました。」
最近、絵里子さんが思い描いているのは、”まだ深く関わりがない人でも、あそこなら行けるかも”と思えるような、そんな場所でありたいということ。特別な理由がなくてもふっと立ち寄れる、気づけばほっとできる場所――そういうお店をこれからも作り続けていきたい、と話してくれました。
ゆっくりできる時間は少ないけれど、ジェラートを食べるわずかな時間は作れるかもしれません。自分へのごほうびタイムにも、大切な人ともう少しだけ話す時間にも、あの子と仲良くなるためのひとときにも。
「今日ジェラート食べに行かない?」と誘ってみたくなる、そんな場所。小さな橋を渡った先に、あなたと大切な人との幸せな時間がきっと待っているはずです。
INFORMATION
店名:
gelateria RITORTA(ジェラテリア リトルタ)
住所:
石川県金沢市香林坊2-12-15
(駐車場なし・近くに有料パーキングあり)
営業時間:
12:00~19:00
定休日:
火曜日
一人当たりの予算:
~¥1,000
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