材木町|大正から令和まで。100年以上愛され続ける老舗のパン屋「森長(もりちょう)」

材木町|大正から令和まで。100年以上愛され続ける老舗のパン屋「森長(もりちょう)」

卯辰山を下って兼六園へ向かう途中に広がる材木町。
昔ながらの町屋や町並みが残っており、どこか親しみを感じられる町です。
そんな材木町に創業100年を超える老舗のパン屋さんがあるとのこと!
これは行くしかない!ということで、さっそく訪問してみました。
今回は、創業以来ずっと町の暮らしに寄り添ってきた歴史あるパン屋「森長(もりちょう)」さんをご紹介します。

変わらぬ味を守り続けて100年。毎日の暮らしに寄り添うパン屋「森長(もりちょう)」

浅野川のほとりにある、レトロでおしゃれなパン屋さん

兼六園から徒歩約15分、浅野川を渡る天神橋の近くに「森長(もりちょう)」さんはあります。
大通りから1本入った住宅地にあり、落ち着いた雰囲気の中、そっと佇んでいます。

森長 外観

パン屋さんとは思えないほどレトロでおしゃれな外観。
創業は1912年の大正元年。現在の店主である英雄さんは、3代目にあたります。

店は昔ながらの長屋の造りで、昔は2階を従業員の居住スペースにしていたそうです。
駐車場はお店横に約2台分の駐車スペースがあります。

森長パン屋駐車場
お店の前が一方通行で少し狭めなので、徒歩約2分のコインパーキングを利用し、町並みを眺めながら歩いてみるのもおすすめですよ。

 

朝6時半オープン! 1日のはじまりにふらっと立ち寄れる

扉は昔ながらの格子戸で趣があり、ガラガラと開けて入店。
店内は、木の温もりが残る穏やかな空間が広がります。

森長パン屋内観
そこには丁寧に並べられたパンたちが「いらっしゃいませ」と言わんばかりにお出迎え。
パンは1つひとつ個包装されており、お店の方の心配りが感じられます。

お店がオープンするのは、なんと朝の6時半!
訪問時は11時半ころでしたが、いつもよりまだ残っている方だそう。
日によって売り切れが重なるときもありますが、朝8時ころには種類が揃っているとのことなので狙い目です。

 

シンプルだからこそ伝わる、素材が主役のパン

今回は、一番人気であるクリームパンを筆頭に、塩豆パンとくるみロールを購入。

下:クリームパン 240円(税込)
上:塩豆パン 240円(税込)
右:くるみロール 220円(税込)森長パン

クリームパンは創業当初から販売されているそうで、中に入っているカスタードはもちろん「森長」さんオリジナルのもの。
昔から変わらぬ製法で、卵と牛乳、砂糖などを丁寧にかけ合わせてあります。

早朝からオープンしていることもあり、朝のランニング客からの口コミで広がったこともあるんだとか。

森長クリームパン

しっとりとした甘さが特徴的で、少し小ぶりなサイズは朝ごはんにはもちろん、おやつの時間にもぴったり。
よけいなものは一切入ってない、やさしい味わいにどこか懐かしさを感じました。

 

塩豆パンは、ふんわりとした薄皮の生地の中につややかな塩豆がぎっしりと詰まっています。

森長塩豆パン
豆はほどよい柔らかさで、1粒ひとつぶの存在感がしっかり。
噛むたびに塩気と豆の甘みがほどよく調和して、シンプルな美味しさが引き立ちます。

 

ゴロっとしたくるみが特徴的なくるみパンは、くるみ好きにはたまりません。
どこからかじってもくるみの存在感がしっかりと感じられます。
生地はしっとりとして甘みがあり、くるみのカリッとした歯ごたえのコントラストがくせになりそうな味わいでした。

そのままでも十分美味しいのですが、お家で食べるときはトースターで軽く温めるのがおすすめ。
マーガリンやバターをのせると、甘さが引き立ち、より一層美味しいそうですよ。

 

食パン 1食(4枚切) 260円(税込)
森長食パン

そしてとっても美味しそうな食パンと目が合ったので、思わず購入!
見た目はふっくらとしているのですが、手に持つとずっしりと重みが。
創業から変わらぬ製法で作られており、余計なものは加えず、小麦本来の味を大切にしています。
レジへ持っていくと、その場でスライスしていただき、切りたてのものをいただけました。

翌日の朝、トーストして食べると、小麦の香ばしい香りが広がり、中はふっくら柔らかく、外はサクッとした食感で本当に美味しかったです。

また、お店にはカフェラテなどのドリンクも販売されているので、パンのお供にぴったりですよ。

森長ドリンク

 

地元で親しまれていた名がそのまま店名に

店名である「森長(もりちょう)」は、初代「森 長光(もり ながみつ)」さんの名前に由来しています。
3代目である英雄さんのお祖父さんにあたり、地元では「もりちょうさん」として親しまれていたことから、その呼び名をそのまま店名としたそうです。

金沢にまだパン文化が浸透していない時代に「桂月堂」というパン屋で職長として長年勤められた長光さん。そこで培った技術と経験を活かし、現在の「森長」を開業しました。

当時はパンのほかにケーキや和菓子も売られており、今でも店頭には焼き菓子が並んでいます。

森長焼き菓子

 

たいせつにしていることは「味」。その日に合わせて対話を重ねる

「お店で大切にしていることは味”です。まごころ込めて毎日作っています。常連さんももちろんいらっしゃいますが、最近では近所に民泊もできて、若い方も買っていかれるのでありがたいです」と、店主のご家族の方が話してくれました。
笑顔がとても素敵で優しい雰囲気だったので、心もほっこりしました。

店主である英雄さんがお店に入るのは午前4時ころ。毎日のパン作りについて、英雄さんの想いをお伺いしました。

名前
英雄さん

今は生地の保存方法も昔に比べるとだいぶ楽になりました。パンは生き物なのでその日の天候に合わせて、イーストの量など変えています。生地の温度を上げたり下げたり、微妙な調整をするのがパン作りではおもしろいところです。

パンのお話をされている英雄さんのお顔がすごくきらきらされていて、毎日のパン作りに対する温かい想いが伝わってきました。

お店を引き継ぐ方はまだ決まっていないそうですが、できれば「この町で長く愛されてきた味を、次の世代にもつなげていけたら」と笑顔で話してくださいました。

森長食パン2

今日も「森長」さんではあたたかなパンを焼いて訪れる人をやさしく迎えてくれています。

100年以上守り続け、愛されている変わらぬ味を、あなたもぜひ味わってみませんか。

INFORMATION

店名:

森長(もりちょう)

住所:

石川県金沢市材木町3-8

電話番号:

076-231-6317

営業時間:

平日・土曜 6:30~17:30
日曜・祝日 6:30~16:00

定休日:

月曜日、火曜日

一人当たりの予算:

~¥1,000

※記事内の情報は記事執筆時点のものです。正確な情報とは異なる可能性がございますので、最新の情報は直接店舗にお問い合わせください。

WRITTEN BY
こーりん

こーりん

ライター

食べること、書くこと、占いが好きな4児の母ライターです。金沢には高校時代と会社員時代を合わせると20年以上通ってきました。まだまだ知らない金沢の魅力を、これから皆さんと発信していけるのが楽しみです♪石川県かほく市在住。