【Relation】石川県の中小企業経営者インタビュー vol.29|家具店「株式会社 大一家具」鳥越作英氏

【Relation】石川県の中小企業経営者インタビュー vol.29|家具店「株式会社 大一家具」鳥越作英氏

1968年の創業以来、羽咋市で半世紀以上にわたり家具販売を続ける「大一家具」。
婚礼家具全盛の時代から、現代の暮らしに寄り添う家具の提案、さらには介護・地域支援まで、時代と共に多様な道を歩んできました。
2024年の能登半島地震の際には復興支援として、愛知県の家具店とともに壊れた家具の無料修理に取り組んでいます。
代表取締役の鳥越作英(とりこし・さくえい)氏に、創業から現在、そして未来への構想などを、家具に対する想いと共にお伺いしました。

地域に寄り添い、思い出を繋ぎ、幸せを届ける

株式会社 大一家具の鳥越作英氏

“家の外”から“家の中”へ

─ 創業のきっかけをお聞かせください。

創業者である祖父は元々、瓦業を営んでいました。
福井県の「四〇・九風水害 (昭和40年)」による災害を機に復興需要が高まり、その中で家の建て替えや修理の仕事が多くなっていきました。

復興が一段落し、「家の外側はもう十分に復興した。次は“家の中”を満たす時代が来る」と思い立ち創業したのが「大一家具」です。

創業当初は婚礼家具が主力商品で、能登一円では「能登の嫁入りといえば大一家具」といわれるほどに知られる存在でした。

─ 最近は婚礼家具を見る機会も少なくなってきていますね。

2代目である父の代になると、時代の流れとともに婚礼家具文化は衰退し、市場は減少していきました。
父は事業を縮小しながらも、苦しい時代のなか何とか会社を守り抜き、3代目の私へとバトンを渡してくれました。

私の代になってから経営方針をより地域に密着した形に再定義しました。

世間一般で価格の二極化が進むなか、あえて低価格から高価格まで幅広いラインナップをそろえることで、地域の多様なニーズに応えられるようにしました。

大一家具 店内

福祉用具の販売や貸与も行っているので、その家具を使う人の健康促進に繋がればとの思いから、心身の健康寿命延伸をテーマに「機能訓練特化型デイサービス」を開始しました。
理学療法士・看護師・介護士のチームで、地域高齢者の健康寿命を支える事業として取り組んでいます。

サービスをご利用頂いている方のなかには「前に大一家具で商品を買ったことがあるよ」という方もおられて、地域とのつながりの再構築にもなっています。

大一家具 店内の一枚板のテーブル

 

思い出を繋ぐ、家具屋の使命

─ 令和6年の能登半島地震では大変なご苦労があったのではないでしょうか。

コロナ収束に向け経済も回復し始めた矢先の能登半島地震でした。
混乱の中、スタッフの安否と店舗の確認に奔走しました。
懸念していたスプリンクラーの誤作動もなく店舗被害は最小限でしたし、スタッフ全員の無事が確認できた時は本当に安心しました。

震災後すぐに救援物資が全国から届いて、他県の知り合いの家具屋さんからも心配して色々送っていただきました。

当時は里山街道を消防・自衛隊がけたたましくサイレンを鳴らして引っ切り無しに走っており、その光景を見守りながら「来たるべき時に家具店の本業を全うせねば」と強く思いました。
お店をしっかり再開することが、ご支援いただいた方々への恩返しになり、地域貢献にもつながると感じました。

まずは震災1ヶ月後に感謝と決意を直筆で綴った復興支援セールのチラシを発行、翌日から多くのお客様にご来店いただきました。

しばらくして名古屋の家具店「鈴屋」さんから「義援金もいいけど、うちには職人もいるし、一緒に家具の無料修理をしませんか?」という連絡をもらいました。

家具1つひとつには様々な思い出や記憶が詰まっています。
修理することで、その思い出や記憶にまた触れてもらうことこそが家具屋の使命だと思い、即答で賛同しました。

新聞社にも特集記事を掲載してもらったところ、「婚礼ダンスの扉が壊れてしまった」「姉が就職祝いに買ってくれた書棚のガラスが割れた」「家が半壊したので家具を掘り出してほしい」など、予想以上に多くのご依頼をいただきました。

崩れた家から家具をトラックに積み込み、修理してお届けする。中にはトラック3台分の引き取りもありました。
時間や保管、配送のリスクはありますが「家具は思い出と記憶の容れ物」という思いで支援を続けています。

大一家具 店内のソファー

 

幸せの提供

─ 会社の理念として大事にしているのはどんなことですか。

会社の方針として、お客様ともスタッフとも、日々の会話を大切にしています。

接客では、お客様が迷っていれば一言かけて悩みを引き出します。
商品の良し悪しは率直に伝え、身体の悩みには専門知識をもって誠実な伴走を心がけています。
ベストな商品を選んでもらうことがお客様の幸せのひとつとしてとらえた場合、会話はとても大事だと思っています。

スタッフとはお互い毎日の小さな出来事の中から「今日うれしかったこと」を見つける会話をするように意識しています。
職場が人間性を育む場になって欲しいですし、スタッフには少しでも楽しく働いてもらいたいですからね。

株式会社 大一家具の鳥越作英氏

─ 今後の展望をお教えください。

まずはこのお店を守り、地域にあり続けること。

そのうえで、将来の構想としては睡眠特化型宿泊施設の運営を目指しています。

睡眠環境の3要素として「体圧分散」「温度調整」「湿度調整」があります。
温度と湿度を整え、部屋ごとに違う硬さのラテックス素材のノンコイルマットレスを置いて「高品質の眠りを体感できる宿泊施設」ができればと考えています。
ラテックスマットレスは天然ゴムの反発性のおかげで体圧分散が従来のマットレスよりも格段に優れていて、店舗の販売でもおすすめしている商品です。

大一家具 店内のベッド

他には中古家具事業も検討していますが、まずは今の販売基盤をさらに強くすることが先決ですね。今後も家具を通して復興支援や地域貢献に携わっていければと思っています。

大一家具の外観

設立:1968年2月

事業内容:家具・インテリア小売業・介護事業・福祉用具販売貸与事業

INFORMATION

店名:

株式会社 大一家具

住所:

石川県羽咋市大川町2丁目123番地

電話番号:

0767-22-0876(代表)

営業時間:

10:00〜19:00

定休日:

水曜日

※記事内の情報は記事執筆時点のものです。正確な情報とは異なる可能性がございますので、最新の情報は直接店舗にお問い合わせください。