
富樫・泉が丘|素材本来の美味しさに気づかせてくれるパン「パン屋 たね」
慌ただしい日々を過ごす中で、食事が、ただお腹を満たすためだけのものになっていませんか。
食材が持つ本来の良さをじっくり味わう、充実したひととき。「美味しい」を共有してみんなが笑顔になる、幸せな優しい時間。
食事は楽しく豊かな時間であるということを思い出させてくれる。そんなパンを作っているお店、「パン屋 たね」さんをご紹介します。
目次
食の奥深さを堪能。パンを通じて豊かな時間を提供する「パン屋 たね」
富樫の住宅街で20年営まれてきたお店
北鉄バス「泉丘高校前」バス停から徒歩2分。パンや洋菓子のお店が多く立ち並ぶ、富樫の住宅街。大通りから路地に入り、ニュー三久 泉が丘店さん前の通りに出ると、通りをはさんで対角線上の角に小さな可愛らしいお店が見えます。こちらが「パン屋 たね」さんです。
向かって左側に専用駐車場も5台分あります。スーパーでのお買い物帰りに立ち寄るのもいいですね。
トリコロールの可愛いお店。会話が生まれる心地よい距離感
深い群青色の外壁に白いドア、赤いオーニング(日よけ) のコントラストが印象的。ヨーロッパの街角にあるような、可愛らしく洗練された雰囲気のお店です。
以前は玉鉾で「ラ・フィセル」という名前でお店を出されていましたが、移転する際に店名も一新。それまでに経験してきた失敗も、成長も、ひとつの「たね」として、もともと畑だったこの場所にまく。そんなイメージでつけられた店名です。
そしてもうひとつ。「美味しい」を共有して、一緒に食べた人と仲良くなる「たね」にしてほしい。そんな想いも込められています。
店内に入ると、ショーケースの中に美味しそうなパンがずらり。選んだパンをお店の方に取って包んでもらうスタイルです。
衛生面にも配慮してこのかたちになったそうですが、自然と会話も生まれます。「どれがおすすめ?」とついついたずねたくなるような、ちょうどいい距離感が心地よい店内です。
カレンダーまでパン!手描きの説明や黒板、イラストもあり親しみやすい雰囲気です。
素材の良さを損なわない。シンプルさを追求したパン
店主藤田さんのパン作りは「引き算」の哲学。材料も工程も極力削ぎ落としたシンプルなパンが基本です。ハード系を中心に、素材そのものの良さを最大限に感じられるパンがそろっています。
材料と工程は最小限に、だけど時間はしっかりかける。余計なことはせず、素材が本来持っているいいところや美味しさをなるべく損なわずにパンに仕上げる。だからこそ、素材選びを非常に大切にしています。
どれも「パンそのもの」の美味しさが感じられる商品ばかり。今回はその中から5種類のパンをいただきました。
●バゲット 300円(税込)
これ以上何も削ぎ落とせないぐらいシンプルに仕上げているというバゲット。時間はしっかりかけているものの、触れている時間は驚くほど短いといいます。
ごつごつとした見た目で、色は濃いめ。表面だけでなく内側もほんのり茶色味がかっています。実はこちら、ちょっとめずらしい全粒粉100%のバゲットなんです。
色だけでなく味も濃い!小麦の主張が強く、噛むほどに小麦本来の旨味と甘味がじわじわと広がっていきます。何もつけなくてもこんなに美味しいんだ!と驚きます。
外はしっかり固く、中は強くしなやかな弾力がある、噛みごたえ抜群の食感も魅力。ハード系好きにはたまりません。
トーストするとバリッとした食感になり、小麦がさらに香りたちます。鼻に抜ける香りまで美味しいバゲットです。
●ふすまパン 400円(税込)
ふすまとは、小麦の表皮のこと。全粒粉のバゲットとはまた異なる風味があります。炒ったナッツのような香ばしさがあり、少し粗めで粒子を感じる口あたりです。香りも味も強く、中はしっとり、かつふんわりとした食感。
トーストすると外はパリッと、中はよりもっちりとした食感になり、甘味もアップ。
実はこのパン、藤田さんがスポーツ選手の息子さんのために考案したパンなのだそうです。身体をよい状態に保つために、質のよい食事は欠かせません。
風味豊かで美味しい上に、栄養価も高いふすまパン。健康習慣のひとつとして取り入れてみては。
●クロワッサン 250円(税込)
ハード系のパンのイメージが強い「たね」さんですが、クロワッサンもとっても美味しい!
表面はザクッ、バリッと食べごたえのある食感、中はしっとりとしなやかで、生地の“層”をしっかり感じます。
食感のコントラストが魅力的で、豊かなバターの香りがありながらも軽やかなクロワッサンです。
●ふかふかフォカッチャ(とうもろこし・えだまめ)各300円(税込)
フォカッチャは季節ごとに具材を変えて作っているのだそう。今回はとうもろこしとえだまめ、2種類のフォカッチャをいただきました。
先にご紹介したパンに比べて小麦の主張は控えめ、主役の具材の美味しさが全面に押し出されています。とうもろこしは噛むたびに自然な優しい甘味がにじみ出し、えだまめはあの食欲をそそる香りが口に入れる前から広がります。
もちっとした歯切れのよい生地は、焼くとザクッとした食感に早がわり。ぜひ試してみてください。
日常を豊かにしてくれたパンとの出会い。この体験を、お客様にも
店主の藤田さんが東京で会社員をしていたころ、通勤途中にできた1軒のパン屋さん。ここのパンとの出会いが、藤田さんがパンの道に足を踏み入れるきっかけとなりました。
やわらかくて具材がたくさんのった惣菜パンが主流だった当時、そこはカンパーニュやバゲットなどのシンプルなパンを中心に作っているめずらしいお店でした。はじめは良さがわからなかったという藤田さんですが、だんだんとパンそのものの美味しさに気づいていったといいます。
「そのお店のパンは、パン1個で完結していなかった」パンに合わせてコーヒーを淹れたり、お皿を選んだり。それまではただお腹を満たすだけだった食事の時間が、楽しく豊かな時間になっていきました。
食への興味は調理器具や食材、レシピ、さらには畑や地球環境にまで広がっていったといいます。そしてあるとき、すべてがたった1個のパンから始まったのだということに気づき、「パンってすごい!」と感動したのだとか。
自分が実感したような人生が豊かになる体験を、させられる人になりたい。この感動を、誰かに与えられる人になりたい。
それを叶えるためにあらゆる方法を模索した末、パンでなければならないという結論に行きつき、未経験からパン職人になることを決意したのでした。
このお店を、このパンを、コミュニケーションの「たね」にしてほしい
「パン屋 たね」さんが大切にしているのは、コミュニケーション。
「パンを焼きたくてパン屋になったわけじゃない。人の役に立つこと、お客様が豊かになることが目的で、パンはあくまで手段だから」と藤田さんはいいます。
家庭でも、職場でもない場所でこぼす、他愛もないひとこと。そんな何気ない会話で人は、生活のリズムや自身の状態を保っていると思う。だからお客様の日常の1コマ、暮らしの一部になれれば本当に嬉しい、と語ってくださいました。
お客様とのコミュニケーションは、藤田さん自身の活力にもなっているといいます。お客様との会話の中でパン作りのヒントも得ているのだとか。
パンを美味しく仕上げる1番いい方法は、買いに来る人を思い浮かべること。お客様とのコミュニケーションがなければ美味しいパンもできないし、売る意味もなくなってしまう。
藤田さんが大切にしているコミュニケーションが、パンの美味しさにもちゃんと繋がっているのですね。
そして藤田さんは、パンを持ち帰った先でも、このパンを会話やコミュニケーションの「たね」にしてほしいといいます。
美味しい、楽しい、嬉しい…そんなポジティブな感情を共有できると、人は仲良くなれる。美味しさの本質を追求した、誰が食べても美味しいパンで、人が仲良くなれる「たね」を作りたい。
そんな想いが込められたパン。美味しさと一緒に、ご家族やご友人と過ごす豊かな時間も楽しんでくださいね。
INFORMATION
店名:
パン屋 たね
住所:
石川県金沢市富樫1-7-8
(駐車場5台)
電話番号:
076-226-0009
営業時間:
9:00〜18:00
定休日:
月曜日、第1・第3日曜日
一人当たりの予算:
〜¥1,000
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