笠市町|イタリアの日常を金沢の築140年の町家で味わう「Angolo CAFFE(アンゴロカフェ)」
笠市町の角地にたたずむ築140年の町家。扉を開けると、店主の能崎さんがイタリアのフィレンツェで出会ったエスプレッソ文化が、金沢の歴史と静かに響き合う空間が広がっていました。
「Angolo(アンゴロ)」とはイタリア語で「角」を意味します。店名には「街角のあのコーヒー屋さん」と気軽に呼んでもらえるような場所でありたいという想いが込められています。
能崎さんが淹れる、優しく包まれるようなカフェラテ。ひとくち飲んだ瞬間、金沢にいながらイタリアの朝を感じる、そんな穏やかな時間が流れていました。
目次
優しいラテと「角」のプリン、イタリアの日常を五感で楽しむ「Angolo CAFFE(アンゴロカフェ)」
笠市町の角にたたずむ、築140年の町家
金沢駅東口を出て、武蔵ヶ辻方面へ10分ほど歩くと、笠市町の静かな通りにたどり着きます。笠市郵便局の向かい側、角地にたたずむ趣のある町家が、「Angolo CAFFE(アンゴロカフェ)」さんです。
駐車場は、こちらの立て看板にある通り、熊田商店のほうを進んでいくと見えてくる「ジュプランサ」さん前に4台分の共同駐車場があります。


「Angolo」とはイタリア語で「角」を意味します。店名には、「街角のあのコーヒー屋さん」と気軽に呼んでもらえるようなお店でありたいという想いが込められています。

笠市町の角地に建つ築140年ほどの町家。金沢の歴史ある街並みに、自然に溶け込んでいます。
金沢とイタリア、ふたつの歴史が静かに響き合う空間

扉を開けると、町家の趣を残しながらも、エスプレッソマシンなどの器具が置かれており、どこかイタリアの雰囲気を感じさせる空間が広がっていました。
セルフサービスのお水が用意されているコーナーに目を向けると、驚いたことにお水だけでなくお白湯まで選べるようになっていました。
寒いときはお白湯、暑いときはお水、とそのときの体調や気分によって選べる心遣いがなんとも嬉しいですね。こうした細やかな気配りのひとつひとつに、能崎さんの温かなお人柄が表れているようです。

店内はカウンター6席、2人掛けテーブルが3卓、4人掛けテーブルが1卓。コンパクトな造りながら、心地よい距離感です。訪問した際は、2人掛けテーブル2卓が合わさり、4人掛けテーブル1卓として扱われていました。

角をイメージした「アンゴロリッチプリン」と、心ほどけるカフェラテ

イタリア製のエスプレッソマシン「マルゾッコ(La Marzocco)」が据えられたカウンターで、まずは注文をします。

メニューを拝見すると、ドリンクとフードに分かれた魅力的なラインナップが並んでいます。定番のカフェラテ系統のほか、イタリア産のジュースなど、ほかではなかなかお目にかかれない珍しいドリンクも目を惹きます。
デザートやフードも充実しており、店名を冠した「アンゴロリッチプリン」や、香ばしく焼き上げられたおいしそうなクロワッサンが並んでいました。

期間限定の「レッドエスプレッソラテ」という、ルイボスティーの茶葉で抽出する珍しいラテに心が動きましたが、今回は定番のカフェラテとアンゴロリッチプリンをいただくことに。
注文を終えて席に座り、ふとカウンターへ目を向けると、印象的なアート作品が飾られています。
こちらは、古い日本の民芸品を新しく生まれ変わらせる作家、原島亮介(はらしま りょうすけ)氏の作品。店主の能崎さんお気に入りの作家さんで、ご自身の空間にぜひ取り入れたいと選ばれたのだそうです。
店主の能崎さんが「自分が気に入った環境であること」を大切にしているこだわりが、随所に感じられます。
「私、朝7時から夕方5時まで店で過ごすので、自分が好きなものに囲まれていたいんです」
そうおっしゃる能崎さんの言葉に、自分の納得できる空間を丁寧に育んでいくことの素晴らしさを感じ、心の中で深く共感しました。
そうこうしているうちに、お待ちかねのプリンとラテが到着しました。

●アンゴロリッチプリン 500円(税込)

店名の由来である「角(アンゴロ)」を体現した四角いフォルム。スプーンを押し返してくるような弾力に驚きつつ、口に運べば、シルクのように滑らかな舌触りへと変化します。 卵の濃厚さを引き立てるのは、あえて苦みを抑えた琥珀色のカラメル。冬から春にかけて添えられる、いちごの鮮烈な酸味が、甘みの輪郭を鮮やかに縁取っていました。
※12月から5月ごろまではいちご、それ以外の時期はブルーベリーなど、季節ごとのフルーツを添えています。
●カフェラテ 620円(税込)
運ばれてきたのは、緻密に描かれたチューリップのラテアート。 カップを傾けると、空気を含んだミルクの泡が唇に触れ、続いて中深煎りの力強いエスプレッソの香りが追いかけてきます。喉を通る瞬間の軽やかさは、雑味のない抽出、きめ細かいスチームがなされている証。フィレンツェのバールで愛される「日常の1杯」が、ここ金沢の町家で再現されていました。
フィレンツェの日常を金沢へ。未経験から追求した「あの時の味」
美味しくいただいた後、店主・能崎さんにお話を伺いました。
「実は、もともとコーヒー業界や飲食業の経験はなかったんです」
そう切り出した能崎さん。意外な言葉に驚きながらも、その柔らかな語り口に引き込まれていきました。
カフェを始めるきっかけとなったのは、2008年から2015年まで住んでいたイタリアのフィレンツェでの経験。現地では「バール」が街中にあり、人々が日常的にエスプレッソを楽しむ文化が根付いていました。
「朝起きて、まずバールへ行く。カウンターに立ってエスプレッソを1杯飲んで、バリスタと軽く言葉を交わして、それから1日が始まる。そんな暮らしが当たり前だったんです」
フィレンツェでの日常が、今でも鮮明に心に残っているのが伝わってきます。
「あの頃飲んでいたエスプレッソの味が、忘れられなくて。日本に帰ってきてから、あの味を、自分で淹れられるようになりたいと思いました」
そう語る能崎さんの言葉には、ただの憧れではなく、確かな決意が感じられました。
日本に帰国後、まったくの未経験から金沢の「GOOD4LIFE 36CAFE」で修業を始めました。
「最初は本当に何もわからなくて。エスプレッソマシンの扱い方から、豆の種類、抽出の温度や時間まで、すべてが初めてでした」
能崎さんは当時を振り返り、一から学び続けた日々への誇りが垣間見えます。
「昨今金沢でも流行している浅煎りではなく、私が追求したかったのは、フィレンツェで飲んでいたあの時のエスプレッソの味。酸味がほとんどなく、深煎りの味わいです」
能崎さんの言葉には、ブレない芯の強さがありました。昨今の流行に流されず、自分が本当に美味しいと思った味、体験を追求する。その姿勢は、きっと修業時代から変わらないものなのでしょう。使用している豆は、修業先で焙煎されたブレンド。ブラジルとコロンビアを半分ずつ配合した中深煎りで、深みがありつつ軽やかな味わいが特徴です。
「何度も何度も試して、ようやくあの頃の味に近づけた気がします。でも、完璧だとは思っていなくて。今でも毎日、もっと良くできないかと考えています」
そう語る能崎さんの表情には、職人としての探究心が滲んでいました。
この築140年ほどの建物は、もともとご家族ぐるみで付き合いのあった方の持ち物だったそうです。「この場所を見せてもらったとき、直感的に『ここだ』と思いました。フィレンツェの路地裏にあったバールみたいな、歴史が染み込んだ空間。ここなら、あの文化を金沢で表現できるんじゃないかと」
「知っている人に貸したい」という縁から、この場所でイタリアの文化と金沢の町家を融合させる試みが始まりました。
リノベーションでは、100年以上前のすりガラスや柱など、歴史を感じさせる部分を大切に残しています。
「新しくするだけじゃなくて、この建物が歩んできた時間も一緒に残したかったんです。イタリアのバールも、何十年も同じ場所にあって、その歴史ごと愛されている。そんな場所を、金沢でも作りたいと思いました」
能崎さんの言葉からは、単なる店づくりではなく、時間と文化を紡ぐ場所を作りたいという想いが伝わってきました。
街角のコーヒー屋さんとして、140年の歴史に新たな息吹を

「Angolo CAFFE」さんがオープンしたのは、2020年4月。店主の能崎さんは、イタリアのバリスタとお客さんのような、フレンドリーな関係性を理想としています。
「イタリアでは、仲良くなるとバリスタに合鍵を任せ合うくらいの信頼関係が築かれることもあるんですよ。距離感は大事にしつつ、お客様とのコミュニケーションはすごく大切にしています」
冬場には白湯を用意するなど、細やかな気遣いが店内の温かさを作り出しています。
店を出る前、ふと振り返ると、笠市町の角にたたずむ町家の中で、イタリアのエスプレッソ文化が静かに息づいていました。
次に寄る機会があれば、また能崎さんたちとのたわいもない会話を楽しみながら、あの優しいカフェラテと「角」のプリンを味わいたいです。築140年の歴史に包まれるあの空間で、自分を取り戻すような穏やかなひとときを過ごしたい。そう願いながら、静かな通りを後にしました。
INFORMATION
店名:
Angolo CAFFE
住所:
石川県金沢市笠市町10-1
(共同駐車場4台)
電話番号:
070-7549-724
営業時間:
8:00〜16:00
定休日:
火曜日・水曜日
一人当たりの予算:
〜¥1,000
※記事内の情報は記事執筆時点のものです。正確な情報とは異なる可能性がございますので、最新の情報は直接店舗にお問い合わせください。







