【Relation】石川県の中小企業経営者インタビュー vol.31|クリーニング業「はる喜クリーニング株式会社」春木謙一氏
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【Relation】石川県の中小企業経営者インタビュー vol.31|クリーニング業「はる喜クリーニング株式会社」春木謙一氏
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創業56年を迎える「はる喜クリーニング株式会社」。
コロナ禍での工場火災、そして能登半島地震という、立て続けに襲いかかる危機をスタッフと共に乗り越え、今なお輪島の暮らしを支え続けています。
代表取締役の春木謙一(はるき・けんいち)氏に、これまでの歩みとスタッフとの深い絆、そしてこれからの展望を伺いました。
ただ、輪島の人の役に立ちたい

(写真提供:はる喜クリーニング)
町の洗濯屋から、能登を支える企業へ
─ 創業から現在に至るまでの経緯を教えてください。
1970年、私の父が23歳の時に、自宅の1階で小さな「町の洗濯屋」として事業を始めたのが原点です。お客さんもスタッフもゼロ、洗濯機とアイロンが1台からのスタートでした。
当初はスーツやワイシャツのクリーニングが中心でしたが、「大きな絨毯を洗ってほしい」といった依頼があり、お客様の要望に応えたいという思いから、開業から4年で現在の場所に新工場を建設しました。
工場移転後、徐々に宿泊施設からのクリーニング業務を手掛けるようになり、2005年に私が入社してからは、ホテル、旅館、病院といった法人向けサービスへ本格的に事業を拡大していきました。
特にホテル関連は当時の売り上げの大きな柱へと成長しました。
父が掲げた「売上1億円」という目標を達成することを、自身の社長就任の条件と考えていたのですが、その目前で火災に見舞われてしまい、最終的に2022年11月に2代目社長に就任しました。
二大危機を支えたスタッフとの絆
─ 社長就任の前後で、大きな被害があったとお聞きしました。
実は2度の大きな危機に見舞われました。
1度目はコロナ禍真っ只中の2020年4月に発生した工場火災です。
乾燥させた後のバスタオルが過乾燥により蓄熱し、自然発火したことが火災の原因でした。

(写真提供:はる喜クリーニング)
火災自体は中規模だったものの、工場で油の取り扱いがあったこともあり、ほぼすべての内部設備は修理が必要になりました。導入から1年も経たない新品の機械もこの火事で焼けてしまい、当時はかなり意気消沈しましたね。
火災の事後処理などに時間を取られ、忙しくしていた時に、スタッフたちが自らお客様のもとへ謝罪に回ってくれていたことを知り、私も落ち込んでいる場合ではないと、思いなおすことができました。
2度目は2024年1月1日に起きた能登半島地震です。
この震災で主要な取引先であるホテルや旅館が壊滅的な被害を受け、事業の基盤をほぼ全て失いました。

(写真提供:はる喜クリーニング)
工場の地盤も25cm沈下し、水も出ない絶望的な状況で、「会社に残っているお金を分けて廃業しよう」とスタッフに切り出しました。
しかし、避難を余儀なくされるなかでもスタッフのみんなは、「一旦は離れるけれど、必ずここに戻ってくるから」と言ってくれました。
その一言に、折れかけていた心が「もう1度だけ」と繋ぎ止められたのです。
やがて会社に戻り、集まったスタッフに事業継続を伝えると、「次やめるって言ったら何を言ってやろうかと思ってた」という力強い言葉が返ってきました。
その時ですね、本当の意味で腹が据わったのは。スタッフたちの存在に、私はまたしても背中を押されたのです。
─ 頼もしいスタッフの方々ですね。
本当に、自慢のスタッフです。
事業継続が決まると、避難所生活を送るスタッフが、避難所にいる周りの方を仕事に誘ってきてくれたこともありました。
困難な状況でも支え続けてくれるスタッフの存在こそが、今の弊社の財産です。

(写真提供:はる喜クリーニング)
正直を武器に、輪島の人の役に立ちたい
─ それほどまでにスタッフから信頼される秘訣は何でしょうか。
正直なところ、私は経営のテクニックに関してはあまりわからないんですよね。
ただ、父からの「正直であれ」という教えだけは守り続けています。
私もスタッフも嘘をつかず、本音でぶつかりあってきました。
かつては、スタッフ間のいざこざを見たくなくて、私自身がわざと嫌われ役になり「共通の敵」として立ち回ることで、現場の結束を固めようとした時期もありました。
でも、みんな優秀だからすぐにバレてしまうんですよね。(笑)
今ではそうした工作抜きに、何かあれば「原因を探り、助け合う」という文化が根付きました。
人間関係のトラブルがないことはうちの大きな強みですね。
おかげで、採用に関しても、スタッフの紹介で新しい仲間が増えていくような、温かい循環も生まれています。

─ そんな固い絆で結ばれた皆さんと、これからどのような未来を描いていきたいですか。
現在、輪島でクリーニング店を営むのは、コインランドリーを除けば私たちだけになりました。
かつては金沢進出など、外の世界に目を向けていた時期もありましたが、今はこれだけ頼もしいスタッフと共に「輪島の人の役に立ちたい」という思いが強いです。
震災を経て、事業の主軸は法人から再び地域住民の皆様へと戻りました。
仮設住宅近くの共同入浴・食事施設への取次店設置など、より生活に密着したサービスを広げていく予定です。
また、クリーニング業を若者が「ここで働きたい」と思える魅力的な職業に変えていきたいと考えています。
ピアスや髪型も自分らしく、それでいて現場では誰よりも真剣に、汚れと向き合う。そんなギャップのある「自然なかっこよさ」を大切にする集団でありたいです。
経営者としては、これからも正直にお客様と向き合い、「綺麗になったね」という一言を頂ける仕事をひたすら追求していきたいですね。
ただの感想かもしれませんが、ごはんを食べておいしかったねというように、洗濯をして綺麗になったと、それだけで喜んでもらえるような仕事をしていかなければいけないと思っています。

(写真提供:はる喜クリーニング)
設立:1970年
事業内容:クリーニング業
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