香林坊|秒単位で淹れる紅茶とスコーンの時間「ぽっちゃん」
香林坊大和のすぐそば、街のにぎわいから少し離れた場所に、紅茶の香りがふわりと広がるお店があります。
茶葉に合わせて蒸らし時間を秒単位で見極める紅茶は、淹れる工程まで眺めていたくなる丁寧さ。
サクサク、ほろほろのスコーンや、金沢らしさを感じる加賀紅茶(輝)、夜に楽しめる紅茶カクテルまで、昼と夜で違う魅力に出会えるお店です。
目次
加賀紅茶、クリームティーセット、夜の紅茶カクテルまで。昼と夜で表情を変える、あたたかな紅茶専門店。「ぽっちゃん」
香林坊のまちなかで見つけた、紅茶のお店

香林坊大和のすぐそば、石川四高記念公園の向かい。街なかで少し足を止めたくなる場所に紅茶専門店&夜はバー「ぽっちゃん」はあります。「ぽっちゃん」は、木戸誠さん・淳子さん夫妻が営むお店。昼の紅茶専門店は淳子さんが、夜のバーは誠さんが担当しています。
お店は、石川県教育会館の1階です。


建物内には教育会館商店街の案内図があり、初めてでも進みやすいです。トイレは店外の共用トイレを利用します。昼は紅茶専門店、夜はバーとして営業。扉を開けると、街のにぎわいから少し離れ、紅茶の香りに包まれる落ち着いた時間が流れていました。
紅茶の香りに包まれる、すっきりとした店内
店内は、こげ茶色のテーブルやカウンターに白い椅子を合わせた、すっきり落ち着いた雰囲気。白い椅子と木の色合いがほどよくなじみ、ひとりでも、誰かと一緒でも過ごしやすい空間です。席数は18席で、カウンター6席、テーブル2人席2卓、4人席2卓。



カウンターの奥にはたくさんのティーカップとお酒が並び、紅茶の時間とバーの時間が同じ空間に重なっているよう。昼は紅茶専門店、夜はバーという「ぽっちゃん」らしさが感じられました。
天井からはギターもつるされていて、ゲストが弾きに訪れたり、夜の時間には誠さんが演奏したりすることもあるそうです。
カップ選びから楽しい、紅茶とスコーンの時間

紅茶を待つ間には、カップ選びの楽しさも。店内に並ぶさまざまな形や柄のカップから、好みのものを選ばせてもらえます。紅茶に合わせてカップを変えることもあり、加賀紅茶(輝)には少し落ち着いた雰囲気のカップを出すこともあるそう。どれにしようか迷う時間まで、紅茶を楽しむひとときになっていました。



メニューには、本日のスイーツが書かれたカードや、紅茶・ドリンクの案内が並んでいました。スコーンと一緒にどの紅茶を合わせようか、眺めながら選ぶ時間も楽しいです。
●クリームティーセット(ディンブラ) 1,160円(税込)
スコーン2個560円+お好きなドリンクで、ドリンク代が50円引きになるセット。クリームとジャムを添えたスコーンを、紅茶と一緒に味わえます。

今回はディンブラ 650円(税込)のクリームティーセットをいただきました。口に含むと、奥行きのある深めの味わいと紅茶らしい余韻が広がります。少し渋みがありながら飲みにくさはなく、スコーンとゆっくり味わいたくなる紅茶でした。
スコーンはサクサクで、口の中でほろほろとほどける食感。生クリームのやさしい甘さとジャムの甘みが重なります。ディンブラの深めの味わいと合わせると、香りと甘さがゆっくり重なり、午後の時間が少し特別なものになりました。最後はミルクを入れてミルクティーに。最後まで美味しくいただくことができました。
目の前で淹れてくれる、加賀紅茶(輝)の1杯
「ぽっちゃん」では、石川県加賀市で作られる加賀紅茶(輝)も扱っています。淳子さんによると、他の紅茶、和紅茶とは少し違い、より甘みを感じる味わいなのだそう。今回はクリームティーセットのあと、加賀紅茶(輝)の抽出も見せてもらいました。
●加賀紅茶(輝) 700円(税込)
メニュー表には、紅茶を淹れる際のこだわりも書かれていました。ティーポットやカップをあたためること、茶葉の分量を正確に測ること、沸騰したてのお湯を使うこと、そして茶葉をじっくり蒸らすこと。美味しい紅茶ができあがる前には、いくつもの丁寧な工程が重ねられています。
「ぽっちゃん」では、茶葉ごとに量や温度、抽出時間を細かく変えています。大切にしているのは、イギリス式の紅茶の淹れ方にある「ファイブルール」。基本を守りながら、茶葉ごとの香りや味わいを引き出しているそうです。
目の前でお湯を注いでもらうと、まず驚いたのはその高さ。ポットの上、30cmほどから勢いよく注がれていきます。高い位置から注ぐことでお湯に酸素が入り、茶葉が上下に動く「ジャンピング」が起こりやすくなるのだとか。紅茶を美味しく淹れるために、見えないところまで丁寧に考えられていました。


ポットの中で茶葉がふわりと舞い、ゆっくり沈んでいく。その動きに合わせて、紅茶の香りも立ちのぼってきました。
抽出が終わると、紅茶は提供用に温めておいた別のポットへ。茶葉を入れたままにせず、ちょうどよい蒸らし時間で移し替えることで、香りや味わいをきれいに保っているそうです。茶葉によっては、蒸らす時間を秒単位で調整することもあるのだとか。
ポットやカップを温めること、茶葉に合わせて時間を見極めること。さりげない所作の1つひとつが、美味しい紅茶に繋がっていました。
金箔入りで提供される加賀紅茶(輝)は、見た目からも金沢らしさを楽しめる一杯です。産地や茶葉によって香りも味も淹れ方も変わる紅茶。その奥深さを感じられるのが、紅茶専門店ならではの魅力です。
ゆっくり楽しみたい、英国式アフタヌーンティー

「ぽっちゃん」では、予約限定でアフタヌーンティーも楽しめます。紅茶とスコーンをゆっくり味わう、英国式のティータイムです。
華やかな装飾で見せるというより、昔ながらの伝統的なスタイルを大切にした内容。スコーンやデザート、きゅうりのサンドイッチなどを、1つひとつ丁寧に味わえます。ボリュームもあるので、少し遅めのお昼ごはんにもよさそうです。
アフタヌーンティー
2人以上で予約可能。伝統的な英国式スタイルで、スコーン、デザート、サンドイッチ、紅茶をゆっくり楽しめます。水・木・金は14:00から、土曜日は12:00以降の時間で予約できます。
夜はバーに。紅茶カクテルも楽しめる


昼の紅茶専門店とは違う顔として、夜はバーに。きっかけは、誠さんが教員時代の教え子たちと同窓会などで近況を話す中で、「人が集まれる場をつくろう」と考えたことだったそうです。
その頃、淳子さんは紅茶を学んでいる最中。そこから、昼は淳子さんの紅茶を楽しめる専門店、夜は誠さんの繋がりから生まれたバーという今の形になりました。夕方を過ぎると、紅茶の香りが残る空間がゆっくりバーの表情に変わっていきます。
紅茶のお店らしく、紅茶を使ったカクテルも用意。モヒート、ティーレモネード、アイスティーのカクテル、ロイヤルミルクティーのカクテルなど、紅茶とお酒を組み合わせた珍しいメニューがあります。茶葉はキャンディなどを使い、自家製シロップを合わせているそう。昼と夜を繋ぐ味わいです。

紅茶を使ったカクテルがある一方で、人気なのは生のフルーツを使ったフルーツカクテル。「Horita 205」さんから仕入れる新鮮な果物を使った、みずみずしいカクテルです。ケーキも仕入れており、紅茶やお酒と一緒に甘い時間も楽しめます。

夜は大学生や大学院生など若いスタッフも入り、それぞれがオリジナルカクテルを研究しているそう。素材の組み合わせやスタッフによって個性が変わるため、訪れる日ごとの楽しみもあります。
バーというと男性客が多い印象もありますが、「ぽっちゃん」は女性のお客さんも多いのだとか。フルーツカクテルや女性スタッフがいる安心感もあり、初めてでも入りやすい空気があります。昼のお客さんが夜へ、夜のお客さんが昼へ訪れることも。時間帯を越えて魅力が繋がっているのも、「ぽっちゃん」ならではです。
今でも、かつての教え子や学校関係の後輩が夜のバーを訪れるそうです。お酒を飲みながら近況を話したり、相談をしたり。教室で向き合っていた人たちと、今度はカウンター越しに言葉を交わす。そんな繋がりが、夜の「ぽっちゃん」にあたたかさを添えていました。
紅茶と人の繋がりが生まれる場所
淳子さんは子どもの頃から紅茶が好きで、コーヒーより紅茶をよく飲んでいたそうです。本格的に学び始めたのは、子育てが少し落ち着いた頃。「何かしたい」と思い、趣味として紅茶を学び始めたことがきっかけでした。学ぶほどに、何気なく飲んでいた紅茶がこんなにも美味しく、奥深いものなのだと気づいたそうです。紅茶教室にはトータルで3〜4年ほど通い、そのうち2年間は集中的に学んだ時期もありました。今も茶葉は、紅茶を学んだ先生から仕入れているそう。学びの時間から続く繋がりが、「ぽっちゃん」の紅茶にも息づいています。
お店がオープンしたのは2020年11月、ちょうどコロナ禍でした。オープンから約3年は、厳しい状況に耐えながら営業を続けてきたそうです。当時はパーテーションや席間隔にも気を配り、思うように接客できない大変さもありました。それでも少しずつ今の形へ。最近ではアロマのイベントなど、人が集まれる場づくりにも取り組んでいます。
昼の営業は、淳子さんと娘さんの2人で立つことが多いそうです。娘さんもお店で働いていて、紅茶のことも一緒に働く中で少しずつ学んできたといいます。「私が研修して紅茶の作法を伝えて、今ではしっかりと淹れられるようになりました」と話す淳子さんの言葉から、親子でお店を育ててきた時間が伝わってきました。家族で営むお店ならではの、肩ひじ張らないあたたかさがあります。
紅茶を飲むだけではなく、人がふらりと集まり、ゆっくり過ごせる場所。「ぽっちゃん」には、そんな空気がありました。

店名の「ぽっちゃん」は、以前飼っていた犬の名前から付けられたそうです。お店のアイコンにもなっているその存在は、淳子さんたちを癒してくれた存在でした。
犬の「ぽっちゃん」がそばにいてくれた時間のように、訪れる人にとってほっとできる場所になればいい。「ぽっちゃん」という名前には、そんな記憶と願いが込められています。
紅茶の香り、スコーンの甘さ、カップを選ぶ楽しさ、そして人との会話。それらが重なり、「ぽっちゃん」はただ紅茶を飲むだけではない場所になっていました。昼は紅茶で心をほどき、夜はお酒を片手に話せる場所へ。犬の「ぽっちゃん」がくれた癒しの記憶は、お店の空気にも静かに息づいているようでした。
昼も夜も、人が自然に戻ってきたくなる場所。「ぽっちゃん」には、そんなあたたかさがありました。
INFORMATION
店名:
ぽっちゃん
住所:
石川県金沢市香林坊1丁目2-40 石川県教育1F
(駐車場なし・近隣にコインパーキングあり)
電話番号:
076-256-1125
営業時間:
ティー 12:00~16:30/BAR 17:15~23:30
定休日:
ティー 日・月曜/BAR 月曜
一人当たりの予算:
¥1,000~¥2,000
※記事内の情報は記事執筆時点のものです。正確な情報とは異なる可能性がございますので、最新の情報は直接店舗にお問い合わせください。







