石引|丁寧な和定食と素材の持ち味を活かした手作りスイーツの店「食堂sasanqua(サザンカ)」

石引|丁寧な和定食と素材の持ち味を活かした手作りスイーツの店「食堂sasanqua(サザンカ)」

石引商店街を歩いていると、心がほっとするような、すてきなお店に出会うことがあります。

今回ご紹介するのは、2025年6月2日にオープンした「食堂sasanqua(サザンカ)」さんです。のれんをくぐると、どこかなつかしく、親しみやすい空気に包まれました。
店主・淺井さんが手がける丁寧な和食と、パティシエである妻の香苗さんの手作りスイーツが楽しめる、とても居心地のいいお店です。

気取らず、誰もが気軽に立ち寄れる丁寧な和食の入り口になりたい——そんなご夫妻の想いが、お店のいたるところに詰まっています。

丁寧につくられた和食を手軽に体験する入り口に「食堂sasanqua(サザンカ)」

石引商店街の通り沿いを歩いていると、北國銀行小立野支店の向かい側に、「食堂sasanqua」と書かれた白いのれんがかかったお店があります。こちらが和定食とケーキのお店「食堂sasanqua(サザンカ)」さんです。

 

石引商店街の細い通路の奥にある駐車場へ

駐車場は、石引商店街の通りから左折し、右手にある白い建物の手前の細い通路を奥へ進んだところにあります。「Chomsky Coffee&Library(チョムスキー コーヒー アンド ライブラリー)」さんが目印です。台数に限りがあるため、停める前にInstagramのDMや電話で確認してから訪問するのがおすすめです。

 

思わず足を止めてしまう、美味しそうな手作りスイーツたち

おいしそうなケーキの写真や、「石引定食」「サザンカ定食」の文字が大きく掲げられています。外からでも思わず食欲をそそられます。

お店に入ると、左手にはこだわりのお菓子がたくさん並んでいます。

カウンター席4席、2人用テーブル席が手前に3卓、奥に2卓、最奥に4人用テーブル席が1卓ありました。また、テーブル席には2口コンセントが付いていたり、Wi-Fiが使えたりと、ゆったりと作業をしに訪れるのにも向いているお店です。

座席にはひざ掛けや、地元のクラフトショップの方に作っていただいた座布団も用意されていて、長居したくなる心地よさがあります。事前に相談すれば子ども用の椅子や、お子さん向けの食事に対応してもらえることもあるそうです。

 

丁寧に作られた和食を、もっと気軽に

ではさっそく、和食ランチ「石引定食」を味わっていきます。

「石引定食」は、魚か肉の主菜を選べる形式でした。魚は「フクラギの照り焼き」、肉は「チキンの南蛮漬け」。どちらも興味がありましたが、普段あまり食べる機会のないフクラギを注文しました。

 

●石引定食 1,600円(税込)

メインのフクラギの照り焼きはもちろん、副菜の1つひとつまで丁寧に作り込まれているのが印象的でした。

フクラギは肉厚でふっくらとしており、しっかりした味付けながら後味は重たくありません。

添えられていたナスの酢の物も、ほどよい酸味が心地よく、それだけでもご飯が進みます。

主菜だけでなく、副菜も含めて全体の味のバランスが考えられていると感じました。

※「石引定食」は平日ランチ(14:30まで)と、18:00以降の夜の時間帯に提供されています。
※主菜などのメニューは仕入れ状況などに応じて、ときどき内容が変わります。

 

「静かに味わって和食を食べようとすると、どうしても高級なお店になってしまったり、手頃な値段で食べようと思うと、賑やかな大衆向けの定食屋が多かったり。その中間のような、本当に丁寧に作られた食べ物を、気取らずに食べてもらえたらなと思っています」

店主・淺井さんがそう話してくれた通り、「食堂sasanqua」のお料理は、既製品や冷凍食品にできるだけ頼らず、毎日新鮮なお魚や野菜を仕入れて、丁寧にだしを取ることから始まります。

以前働いていたような大きな組織の厨房では実現が難しかった、「自分が本当においしいと思うものを、1人ひとりの顔が見える場所で届けたい」という淺井さんのまっすぐな思いが、お皿の上に表現されていました。

 

ショーケースの中から選ぶ手作りスイーツとコーヒー

食後やカフェタイムにぜひ味わいたいのが、パティシエである妻の香苗さんが作るこだわりスイーツです。

既製品にはできるだけ頼らず、自然な素材を選び、「ただ甘い」だけではない素材の持ち味を感じてほしい。そんな想いを込めて、1つひとつ丁寧に作られています。

ケーキ屋さんや旅館、レストラン、ホテルなど、さまざまな場所で経験を積まれた香苗さんのスイーツは、約1ヶ月おきにフルーツの移り変わりなどにあわせて変わっていきます。

「食堂sasanqua」では、ドリンクはメニュー表を見て注文し、スイーツはレジ前のショーケースから選んで注文します。

スイーツのラインナップは定番のプリン、シュークリーム、ショートケーキ、ガトーショコラの他、チーズケーキなども含めて、いつも数種類のケーキが並びます。

スコーンやクッキーなどもあります。

なかでも人気なのが、どこかほっとする味わいのシュークリーム。きび砂糖やてんさい糖を使い、お砂糖の量を調整して作られており、優しい甘みとコクが特徴です。

 

●シュークリーム 350円(税込)

甘さが強すぎず、生クリームのやさしさがじわっと広がるタイプ。表面はクッキーシューを思わせるサクサクとした食感で、クリームがたっぷり入っていて、気づくとどんどん食べてしまう……。今回はテイクアウトでいただきました。

また、しっかりとビターなカカオ72%のチョコレートを使用したガトーショコラもおすすめです。

 

●ガトーショコラ 590円(税込)

側面にはウサギの形をしたクッキーがちょこんと添えられていて、見ているだけで気分が上がるような、遊び心のある盛り付けです。

ひとくち食べてみると、濃厚でほろほろ。しっとり派の私でも

「なんでだろう、好きだ……」

となってしまう不思議な強さがありました。

生クリームもカカオニブも甘さ控えめ。小麦粉の割合を極限まで減らし、チョコレート、バター、卵、砂糖だけで焼き上げたガトーショコラは、まるでチョコレートそのものを楽しんでいるかのような濃厚さ。大人がじっくりと楽しめる味わいに仕上がっています。

 

●ハンドドリップコーヒー 550円(税込)

石引にある自家焙煎珈琲店「橘珈琲」さんの中煎りブレンドを使っているそうです。まろやかなコクと落ち着くような深みが感じられ、すっと身体になじんでいく味わいです。

運ばれてきたのは、作家さんが描いた絵が焼き物になったマグカップ。最後までほっこりとした気持ちで味わえました。

 

いろんな人のつながりにあふれた空間

店内に飾られたさまざまな絵や置物は、店主夫妻が出会ってきた人々の手によるものだそうです。

お子さんが描いた絵や、アルバイトの美術工芸大学の方が描いた絵、知り合いが作ってくれた置物などが並んでいます。

また、「食堂sasanqua」で使用されるすてきな器の数々は、香苗さんが以前暮らしていた松本で出会った「民藝」の器なのだそう。派手すぎず、お料理を優しく包み込んで引き立ててくれる素朴な味わいが、お店の雰囲気にぴったりです。

石引商店街のお花屋さんのお花や、近くの和菓子屋さんのあんこを使うなど、身近な手の届く範囲のつながりをとても大切にされています。

店内には「ほめほめノート」という、お客さんが自由に今日の自分をほめる一言を書き込めるノートが置かれています。もともとは、お店らしい特徴をつくろうという試みから始まったものだそう。気取らず、自然体であることがむしろ魅力になっていて、書いたり読んだりするお客さんたちも、それぞれに楽しんでくれているといいます。

 

誰もがふらりと立ち寄れる、地域の入り口を目指して

「和食って少し敷居が高いイメージがあるかもしれないけれど、学生さんでも、地域の方でも、もっと気軽にフラットに来てもらえるお店にしていきたいです。イタリアンやフレンチのコース料理を食べるような感覚で、若い世代の方にも『丁寧につくられた和食を体験する入り口』になってくれたら嬉しいです」

そんなふうに、ご夫妻は微笑みます。

 

最後にお店の由来をお伺いしました。

お店の名前である「サザンカ」は、ご自宅のそばにある、大きく鮮やかなサザンカの木から名付けられたそうです。

「その木のようにたくさんの人が集まってくれて、楽しそうな雰囲気になったらいいなと思って付けました」

そういえば、店内に飾られたさまざまな絵や置物も、お子さんやアルバイトの美大生、知り合いの方など、いろいろな人の手によるものでした。「サザンカ」の名前そのままに、すでにたくさんの人がこの場所に集まり、つながっているのかもしれません。

さらに、コツコツと真面目にお店を続けていきたいという、ひたむきな思いも込められています。

お2人の優しさが詰まった美味しい和定食とスイーツを味わいに、ぜひ足を運んでみてください。

INFORMATION

店名:

食堂sasanqua

住所:

石川県金沢市石引2丁目6-11
(駐車場なし・近隣にコインパーキングあり)

電話番号:

076-204-6748

営業時間:

火曜日・水曜日 ランチタイム 11:30〜14:30、カフェタイム 14:30〜18:30
木曜日・金曜日・土曜日 ランチタイム 11:30〜14:30、カフェタイム 14:30〜18:00、ディナータイム 18:00〜22:00

定休日:

日曜日・月曜日

一人当たりの予算:

¥2,000〜¥3,000

※記事内の情報は記事執筆時点のものです。正確な情報とは異なる可能性がございますので、最新の情報は直接店舗にお問い合わせください。

WRITTEN BY
ほしのつづみ

ほしのつづみ

ライター

 これまでコーヒー専門店での経験を経て、現在は地域のお店を取材し、その魅力を伝える活動をしています。  お店を訪れると、店主の想いが空間や商品に形となって表れ、その景色に心を動かされてきました。  私は、その想いを読者に伝わる言葉へと変えていく「媒体」でありたいと考えています。金沢を拠点に、地域で挑戦するお店や人々の魅力を、丁寧に届けてまいります。