涌波|焼き芋とコーヒーで届けるやさしい時間「THREE ARROWS(スリーアローズ)」
山側環状を走っていると、白いガレージのような建物がふっと目に入ります。
それが、今回ご紹介する「THREE ARROWS(スリーアローズ)」さん。
お店でいちばん強く感じたのは、味やコンセプト以前に、からだにすっと寄り添うような「やさしさ」でした。
無理なくからだに入っていく心地よさが、焼き芋、コーヒー、そして新作のスイーツという3つの入口から、広がっていきます。
目次
からだに、すっとなじんでいく。3つの「やさしさ」が寄り添うカフェ「THREE ARROWS(スリーアローズ)」
白いガレージとハートのロゴが目印。山側環状沿いにたたずむ穏やかな空間

お店があるのは山側環状沿い、ゲンキー涌波店さんのすぐ近くです。白い外壁に大きく書かれた「THREE ARROWS」の文字が目印。窓をよく見ると、ハート型に変化した可愛らしいロゴも見えました。
駐車場は店前に4台と、右隣にある駐車場(1・2番)に2台の、計6台分あります。車でのアクセスが良いのも、普段使いしたくなるポイントですね。


入口の横には郵便ポストと傘立て。こういう小さなものがあるだけで、なんだか「ただいま」と言いたくなるような、温かい空気感に包まれています。

厳選された豆の香りとゆったりした席。心からリラックスできるひととき

入ってすぐ、入口近くで目が止まったのは、コーヒー豆の麻袋。 実は「スリーアローズ」さんでは、金沢の名店「アリーカフェ」さんのコーヒー豆を取り扱っているそうです。個人的には、「アリーカフェ」さんを以前取材していたこともあり、ここで一気にテンションが上がりました。コーヒー豆の販売もされているので、お家で楽しむために買って帰るのも良さそうです。


店内はカウンターが7席と、2人掛けのテーブル席が4卓。席の間隔がゆったりと取られていて、周囲を気にせず自分のペースで過ごせるのが心地よいです。

メニューには、「スリーアローズ」さんの原点となる焼き芋や、こだわりのコーヒー、新作スイーツなど魅力的なラインナップがそろっています。

「食べられる」という安心感を届けたい。救いから生まれたねっとり甘い焼き芋
●焼き芋(紅はるか)240g 600円(税込) 2.6円/g
まずひとくち食べて、その甘さにびっくりしました。蜜っぽいというより、糖度そのものが高くて甘さが際立つ感じ。食感はねっとりしていますが、不思議と重たくなくて、からだにやさしい甘みです。
「スリーアローズ」さんは、店主と夫の二人三脚で営むカフェ。
焼き芋を仕事にしようと思ったきっかけは、意外なほど切実なものでした。以前、体調を崩した影響で味覚が大きく変わってしまったという夫。何を食べても違和感があり、食事が「越えなきゃいけない壁」のようになっていたとき、唯一からだにすっと入ってきたのが、友人が送ってくれた焼き芋だったそうです。
やわらかくて、口に運びやすい。無理をしなくても、ちゃんと食べられる。その体験があり、焼き芋の魅力が2人の心に強く刻まれました。辛いときに救われた感覚を、今度は誰かのために届けたい。その想いが、今の「スリーアローズ」さんにつながっています。
北陸では珍しい「エアロプレス」での提供。あえてその道を選んだ、誠実な理由
焼き芋に並ぶもう1つの柱が、コーヒーです。
この日、私はあえてメニューを見ず、カウンターに並ぶコーヒー豆を眺めながら、店主と会話をして「今の気分」にぴったりの1杯を決めることにしました。

●コスタリカ ハニー 700円(税込)
最初に気になったのは、コスタリカ ハニー。この銘柄は自分自身、「アリーカフェ」さんで飲んだことがあって、味のイメージがあるぶん、エアロプレスでどう変わるかを比べるにはちょうどいいと思いました。
ただ一方で、「せっかくここに来て、同じ銘柄を選ぶのはどうなんだろう」と少し迷ったのも正直なところ。そんなふうに悩んでいると、店主がぽつりと、「好きな銘柄なら、むしろ比較してみるのがいちばん面白いんじゃない?」と言ってくれました。
そのひとことで気持ちが決まり、コスタリカ ハニーを選びました。
赤リンゴのような甘さと、アーモンドのような香ばしさ。油分を含んだ丸い質感で、なめらかにしっとりとからだになじみます。
●コスタリカ ゲイシャ 1,800円(税込)
もう1つは、コスタリカ ゲイシャ。これは「コーヒー好きなら、1度は飲んでみるのもいいと思う」という形で勧めてもらった1杯です。
お店のおすすめというより、こちらのコーヒーの興味度合いを見ながら、そっと背中を押してくれるような提案。値段も含めて少し構えてしまう銘柄だけれど、「いまの自分はこれを飲んでみたいと思っているか」を確かめるように、ゲイシャも頼んでみることにしました。
ふわっとしたフルーティーさがあり、冷めてくるとまた違う表情のおいしさが出てきます。酸がここまで「おいしい」という喜びに変わるのは、まさに豆の力と丁寧な抽出の賜物です。
「スリーアローズ」さんでは、店主がその味に惚れ込んだという「アリーカフェ」さんの豆を取り扱っています。そして、その豆の魅力を引き出すために選んだのが、北陸では提供しているお店がまだほとんどない「エアロプレス」という淹れ方でした。

ハンドドリップは淹れ手の加減で表情が変わる面白さがありますが、その日の温度や時間の小さなずれで、どうしても味が揺らいでしまう不安があります。けれどエアロプレスなら、空気の力を借りることで、いつでも一定以上の高いクオリティを保てます。
「いつ来ても、あの美味しい1杯が待っている」 そんな、お客様にとっての変わらない安心感を、何よりも大切にされているのです。
また、抽出の特徴もこのお店のコンセプトにぴったりでした。豆の油分をダイレクトに引き出す「フレンチプレス」のようなまろやかさと、雑味をさらりと受け止める「ハンドドリップ」のような透明感。その「いいとこ取り」をしたような、角のないなめらかな口当たりは、まさに「スリーアローズ」さんの目指す、体に寄り添う味そのものでした。

印象的だったのは、コーヒーの「飲み方」のお話でした。
「冷めてからじゃないと、本当の味は分からない。ゆっくり飲んでください」
温度が下がるにつれて、香りや甘さの表情が少しずつ変わっていく。
尖らせないだけではなく、急がせない。 そのなめらかな1杯には、店主ご夫婦の「毎日、安心して楽しんでほしい」という、優しい願いがこもっています。
メニューから選ぶ楽しみはもちろんですが、その日の気分を伝えて、おすすめを教えてもらうのも、このお店ならではの贅沢な過ごし方かもしれません。
冷たいのに、驚くほどやわらかい。身体をゆるめる「フローズンミルク」
ゴールデンウィークに向けて準備されている新作は、韓国の「糸ピンス」の発想をベースに、「スリーアローズ」さん流に組み立てた1品です。
●フローズンミルク エスプレッソ味 1,600円(税込)
食べてみて最初に感じたのは、「冷たいのに、やわらかい」という不思議な感覚でした。
ひとくち食べて、ふわぁー。 またひとくち食べて、ふわぁー。 からだの中が、みるみる幸せな気持ちで満たされていくような体験です。
このフローズンミルクのために選んだ特別なコーヒー豆のエスプレッソに、それを受け止めるミルク、そして氷。このシンプルな組み合わせで、ここまで豊かな美味しさが生まれることに驚かされました。

しっかり冷たいのに、かき氷のような「キーン」とする刺激がありません。 感覚としては、ふわふわのアイスカフェラテを「食べている」ような状態に近いかもしれません。トッピングの生クリームを添えると、甘みと油分が加わって、味の輪郭がさらにぐっと丸くなります。
焼き芋のねっとりとした食感、コーヒーの丸み、そしてスイーツのやわらかさ。 バラバラのようでいて、すべてが同じ「やさしい方向」にある。その繋がりに、心から癒やされるひとときでした。
家族の形と、寄り添う3つの柱。重なり合って生まれた「3本の矢」

店名の「3」は、もともとは店主ご夫婦の3人の娘さんからきているそうです。
最初から3本の柱があったわけではなく、焼き芋にコーヒーが加わり、さらにスイーツが育っていった結果、気がつけば現在の形になったといいます。
「こだわらずに何でもいいから出すのは好きじゃない。でも、こだわりすぎると商売として難しくなる。その間の、ちょうどいいところを探しています」
尖らせすぎず、でも雑にもしない。理想と現実の「ちょうど真ん中」を探す誠実な姿勢が、「スリーアローズ」さんの居心地の良さを作っているのかもしれません。
強く主張するわけではないけれど、気づけばからだの中に残っている。 ゆっくり食べてもいいし、コーヒーが冷めるまでそのまま置いておいてもいい。 そんな「急がなくていい場所」が、ここにありました。
INFORMATION
店名:
THREE ARROWS(スリー アローズ)
住所:
石川県金沢市涌波1丁目8−10
(駐車場6台)
電話番号:
076-282-9511
営業時間:
11:00〜18:00
定休日:
月曜日・火曜日・第1日曜日
※月が祝日の場合は火曜日・水曜日が定休日
一人当たりの予算:
¥1,000〜¥2,000
※記事内の情報は記事執筆時点のものです。正確な情報とは異なる可能性がございますので、最新の情報は直接店舗にお問い合わせください。







